2011'02.17.Thu
5話編・・・後少し・・・
5-6/リーマンココマ
カウントダウンといっても十二時まで開かれる訳ではなく、一日が終わる二時間前にはお開きになった。片付けを終える頃には日が変わろうとしていた。スタッフにココは心づけのお菓子を渡して見送る。ココと小松は最後まで店に残った。
店をでれば、通りに人気はなく静かだ。
勧められるままお酒を口にしていた小松は、ココの車に乗るとあくびをした。
「寝ていていいよ」
ハンドルを握りながらココは言う。
「いえ」とこたえた後に小松は静かになった。
マンションの地下に車を停めても小松は起きなかった。彼と荷物を抱えてココは車から降りる。部屋は冷たかったが、腕のなかに小松が温もりをココに与える。ベッドで小松を寝かせると部屋の暖房をつけた。
シーツの冷たさに小松が唸る。目を閉じたまま何事か呟いていたので「お風呂に入る?」と聞いた。
「ごめんなさい、寝たいです」
かろうじて聞き取れる発音で小松はこたえた。
「今日は、緊張したけど楽しかったです」
「懐かしいひとにも会えたし?」
ココはベッドに腰かけると、小松の耳元でささやいた。低く響く声が小松の鼓膜が震え、無意識なのかため息をついた。アルコールが入っているせいか吐息が熱い。
ココの喉が鳴る。
薄氷のうえを歩いているかのようだった。突き進めばいずれは割れて終わりだ。危険をかえりみずに小松を力ずくで手にいれたところで、正常な関係に収まらない。破滅しかないとココ自身もわかっているが、治まらない衝動は冷静な男を突き動かす。
ココはアルコールで赤くなった耳にキスをした。そのまま覆いかぶさるように小松の唇を奪う。重ねるだけで、お互いの唇を馴染ませるように啄ばむ。
不自然な重みを感じた小松は、眠りに落ちかけていた意識が浮上した。
一瞬、怖気づいたココが躊躇する。その、わずかの間に小松が苦笑した。許された気持ちになったココは深く唇をあわせる。
「ん?」
忙しなくキスをするココの体重が、小松に落とされ彼の覚醒を促す。大きな目をさらに開き驚きを見せる小松だが、ココはキスで押さえ込み声をあげる余裕も息をする隙も与えなかった。
次第に、小松が酸欠で顔を赤くなる。アルコールが入っているせいで余計に呼吸困難に陥るのが早かった。苦しげな呻き声に、ココはもっと味わっていたかった唇から離れる。
ベッドに転がる小松は、大きく呼吸を繰り返しながらココを見上げていた。手を伸ばしてココの頬に触れる。
ココは小松の反応を伺った。
「本物? ココさん?」
口にすることで小松は状況を把握しようとする。ココがうなずけば、小松は彼の下から這い出るように体を引いた。
「ごめんなさい」
小松の謝罪の意味がわからなかった。ココは小松になじられる可能性しか考えてなかったのだ。ふいに、いやな考えがココの脳裏をよぎる。
「誰と間違えた?」
ココの怒りの声に、混乱から立ち直れないでいる小松は余計に動揺した。
「帰ります」
逃げようとする小松をココは許さなかった。薄い肩を掴んで、明確な意思を持ってベッドに縫いつける。
続く
カウントダウンといっても十二時まで開かれる訳ではなく、一日が終わる二時間前にはお開きになった。片付けを終える頃には日が変わろうとしていた。スタッフにココは心づけのお菓子を渡して見送る。ココと小松は最後まで店に残った。
店をでれば、通りに人気はなく静かだ。
勧められるままお酒を口にしていた小松は、ココの車に乗るとあくびをした。
「寝ていていいよ」
ハンドルを握りながらココは言う。
「いえ」とこたえた後に小松は静かになった。
マンションの地下に車を停めても小松は起きなかった。彼と荷物を抱えてココは車から降りる。部屋は冷たかったが、腕のなかに小松が温もりをココに与える。ベッドで小松を寝かせると部屋の暖房をつけた。
シーツの冷たさに小松が唸る。目を閉じたまま何事か呟いていたので「お風呂に入る?」と聞いた。
「ごめんなさい、寝たいです」
かろうじて聞き取れる発音で小松はこたえた。
「今日は、緊張したけど楽しかったです」
「懐かしいひとにも会えたし?」
ココはベッドに腰かけると、小松の耳元でささやいた。低く響く声が小松の鼓膜が震え、無意識なのかため息をついた。アルコールが入っているせいか吐息が熱い。
ココの喉が鳴る。
薄氷のうえを歩いているかのようだった。突き進めばいずれは割れて終わりだ。危険をかえりみずに小松を力ずくで手にいれたところで、正常な関係に収まらない。破滅しかないとココ自身もわかっているが、治まらない衝動は冷静な男を突き動かす。
ココはアルコールで赤くなった耳にキスをした。そのまま覆いかぶさるように小松の唇を奪う。重ねるだけで、お互いの唇を馴染ませるように啄ばむ。
不自然な重みを感じた小松は、眠りに落ちかけていた意識が浮上した。
一瞬、怖気づいたココが躊躇する。その、わずかの間に小松が苦笑した。許された気持ちになったココは深く唇をあわせる。
「ん?」
忙しなくキスをするココの体重が、小松に落とされ彼の覚醒を促す。大きな目をさらに開き驚きを見せる小松だが、ココはキスで押さえ込み声をあげる余裕も息をする隙も与えなかった。
次第に、小松が酸欠で顔を赤くなる。アルコールが入っているせいで余計に呼吸困難に陥るのが早かった。苦しげな呻き声に、ココはもっと味わっていたかった唇から離れる。
ベッドに転がる小松は、大きく呼吸を繰り返しながらココを見上げていた。手を伸ばしてココの頬に触れる。
ココは小松の反応を伺った。
「本物? ココさん?」
口にすることで小松は状況を把握しようとする。ココがうなずけば、小松は彼の下から這い出るように体を引いた。
「ごめんなさい」
小松の謝罪の意味がわからなかった。ココは小松になじられる可能性しか考えてなかったのだ。ふいに、いやな考えがココの脳裏をよぎる。
「誰と間違えた?」
ココの怒りの声に、混乱から立ち直れないでいる小松は余計に動揺した。
「帰ります」
逃げようとする小松をココは許さなかった。薄い肩を掴んで、明確な意思を持ってベッドに縫いつける。
続く
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