2011'02.11.Fri
ロマンスの神様の捕獲レベルの高さを実感する今日この頃。ココマを幸せにしたい・・・!!
5-4/リーマンココマ
大晦日までの短い日数は仕事に忙殺される間に過ぎた。一般社員は二日前から冬期休暇に入っているが、ふたつの職務をかけもつココは後回しにしていた業務を処理していた。この一週間は店を副店長に任せっぱなしだ。
さすがにカウントダウンパーティーのある大晦日はココが店長をつとめる本店で行われるため、昼過ぎから準備のため本店に出向いた。
クリーニングから戻ってきたベストとスラックスをロッカーにかけ支度に取りかかる。ノックが響き「どうぞ」とココは返した。
ドアを開けた小松はココを見て慌てた。
「着替え中に失礼しました」
「何度もぼくの裸を見ているのになにを照れるの?」
ココがからかえば小松はまっかになる。
「意地悪です」
ささやかに怒る小松にココはすかさず謝った。小松と気安く話ができるのが久しぶりでココの心は浮き立つ。
「パーティー用の食材も昨日、今日で滞りなく納品されました。それから、トリコさんが霜降り兎を差し入れしてくださったんです。血抜きと解体も手伝ってくださったので、後は下ごしらえをして調理するだけです」
ココは大型兎を思い出して苦笑する。トリコが食べたかったのは容易く想像できた。
「段取りに無理はない?」
「問題ありません」
力強い返事と輝かしい笑顔が頼もしい。
「ところで、ココさんのフォーマルスーツは?」
ココのロッカーに出社時に着ていたスーツしかないのを見て小松が聞いた。
「ぼくは会場責任者だから今日は裏方に徹するよ」
「そ、そうなんですか?」
小松がびっくりして聞き返す。
「ぼくひとりだと肩身が狭いです」
頼りない表情をする小松に、ココはトリコやサニーの名を出してリラックスさせた。
「今日の招待リストだから目を通しておいて」
ココは小松に名簿を渡す。
受けとった小松は、ひと通りみて「鉄平さんだ」と呟いた。聞き覚えのある名前にココが反応する。
「与作さんの、か」
「誰?」
ココはすかさず聞いた。
「再生所の与作さんです。お弟子さんが、先日遊びに来たぼくの友人です」
ココはリストに目を通した。一度、確認をしたが、それは彼の存在を知る前で、認識が薄く名前に記憶が残らなかったのだろう。
(再生所の与作・・・会長の推薦だったな)
その人物の名をココは知っているが面識はない。与作の名を親しげに口にするあたり、小松の正体がわからなくなってくる。引き抜く前に素性は簡単に調べたが、データだけでは知りえないことも多々あった。
(知りたい)
「今日、ぼくのとこに泊まりにこない?」
気づけばココは誘っていた。
「いいんですか?」
「男のひとり暮らしだから気兼ねしないで。グルメデパートから御節の御取り寄せをして、ひとりで食べるのはもったいないしね」
「ぼくじゃなくても、他に誘うひとがいませんか?」
小松が言いにくそうにココに告げた。何故ここで「他」が出てくるのかわからないが、ココは否定した。
「いないよ、小松くんを誘ってるんだ」
はっきりとココが口にしても小松は煮え切らない。珍しい反応にココが疑問に思う。
「もしかして、実家に帰る?」
小松は本店に来てから連休をとっておらず、正月が初の大型連休になる。ココが可能性を口にすれば小松は否定した。
「いえ、帰る連絡をいれ損なったので、お休みはアパートでのんびりします」
小松の言い終えた後、ココは焦る気持ちを抑えて返事を待つ。
「突然ですがお邪魔します」
続く
大晦日までの短い日数は仕事に忙殺される間に過ぎた。一般社員は二日前から冬期休暇に入っているが、ふたつの職務をかけもつココは後回しにしていた業務を処理していた。この一週間は店を副店長に任せっぱなしだ。
さすがにカウントダウンパーティーのある大晦日はココが店長をつとめる本店で行われるため、昼過ぎから準備のため本店に出向いた。
クリーニングから戻ってきたベストとスラックスをロッカーにかけ支度に取りかかる。ノックが響き「どうぞ」とココは返した。
ドアを開けた小松はココを見て慌てた。
「着替え中に失礼しました」
「何度もぼくの裸を見ているのになにを照れるの?」
ココがからかえば小松はまっかになる。
「意地悪です」
ささやかに怒る小松にココはすかさず謝った。小松と気安く話ができるのが久しぶりでココの心は浮き立つ。
「パーティー用の食材も昨日、今日で滞りなく納品されました。それから、トリコさんが霜降り兎を差し入れしてくださったんです。血抜きと解体も手伝ってくださったので、後は下ごしらえをして調理するだけです」
ココは大型兎を思い出して苦笑する。トリコが食べたかったのは容易く想像できた。
「段取りに無理はない?」
「問題ありません」
力強い返事と輝かしい笑顔が頼もしい。
「ところで、ココさんのフォーマルスーツは?」
ココのロッカーに出社時に着ていたスーツしかないのを見て小松が聞いた。
「ぼくは会場責任者だから今日は裏方に徹するよ」
「そ、そうなんですか?」
小松がびっくりして聞き返す。
「ぼくひとりだと肩身が狭いです」
頼りない表情をする小松に、ココはトリコやサニーの名を出してリラックスさせた。
「今日の招待リストだから目を通しておいて」
ココは小松に名簿を渡す。
受けとった小松は、ひと通りみて「鉄平さんだ」と呟いた。聞き覚えのある名前にココが反応する。
「与作さんの、か」
「誰?」
ココはすかさず聞いた。
「再生所の与作さんです。お弟子さんが、先日遊びに来たぼくの友人です」
ココはリストに目を通した。一度、確認をしたが、それは彼の存在を知る前で、認識が薄く名前に記憶が残らなかったのだろう。
(再生所の与作・・・会長の推薦だったな)
その人物の名をココは知っているが面識はない。与作の名を親しげに口にするあたり、小松の正体がわからなくなってくる。引き抜く前に素性は簡単に調べたが、データだけでは知りえないことも多々あった。
(知りたい)
「今日、ぼくのとこに泊まりにこない?」
気づけばココは誘っていた。
「いいんですか?」
「男のひとり暮らしだから気兼ねしないで。グルメデパートから御節の御取り寄せをして、ひとりで食べるのはもったいないしね」
「ぼくじゃなくても、他に誘うひとがいませんか?」
小松が言いにくそうにココに告げた。何故ここで「他」が出てくるのかわからないが、ココは否定した。
「いないよ、小松くんを誘ってるんだ」
はっきりとココが口にしても小松は煮え切らない。珍しい反応にココが疑問に思う。
「もしかして、実家に帰る?」
小松は本店に来てから連休をとっておらず、正月が初の大型連休になる。ココが可能性を口にすれば小松は否定した。
「いえ、帰る連絡をいれ損なったので、お休みはアパートでのんびりします」
小松の言い終えた後、ココは焦る気持ちを抑えて返事を待つ。
「突然ですがお邪魔します」
続く
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