オチも考えてないおそろしい状況ですがGO! してみます。
料理陰陽師小松 其の二
広げたござの上に重箱を置いてまずはあいさつをしよう!
「はじめまして、ぼくは陰陽師を生業とする小松といいます」
「おもしろいこというな、人間。おれの知る陰陽師は妖怪をもてなしたりしねえぞ」
青い髪の妖怪は豪快に笑う。悪童の如く憎めない笑顔だ。
体格や髪の色だけではない。口から覗く牙と、頭上に生える角が人間でないと主張しているが人間くさい。というか気さくな鬼だ。
「ぼくの知っている妖怪は、人間の料理を警戒もせずに食べたりしませんよ?」
控えめに反論すれば反撃される。
「毒でも入っているのか?」
「料理にそんなものいれません!」
「毒が入っていてもこっちは専門がいるから問題ねぇけどな」
「はい?」
「こっちの話」
独り言の意味がわからず聞けば軽くあしらわれた。
「人間の料理なんてはじめて食べるけどうまいな」
鬼は酒のつまみのつもりか、飲みながら手づかみで食べていった。
体の大きさに見合った豪快な食べっぷりだ。見ていて気持ちがいい・・・って、感心している場合じゃない。
「近頃、都を騒がせている妖怪がいると聞きやって来ました」
「おれを倒すってか? おまえが?」
お互い座っているので立っているより目線は近いけど、大きく見下された。
仲間内でも小柄なぼくは、確かに見た目は頼りない。頼りないのは見た目だけだと思いたい。
「別に相手になってやってもいいけどよ、都を騒がせてるのは向こう山いつつに住処を持つ美食會の連中だぜ」
「ほ、本当ですか?」
びっくりして身を乗り出せば、鬼は目を丸くした。
あ、なんだか幼い顔だ。
「嘘ついてどうする?」
「ぼくと対峙しなくてすむじゃないですか」
言えば、鬼はうずくまった。肩が震えている。豪快に食べ過ぎて喉に詰まらせたか?!
「腹いてー腹いてー」
転がると大声で笑った。足をばたばたさせて笑い転げる姿が鬼のくせしてかわいいな、なんて思ったぼくは陰陽師失格かもしれない。
続く