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WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'11.23.Sat
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2009'03.05.Thu
矛盾とパラレルとあほな展開を笑って許せる方だけご覧いただけると安心します。
考えてみると、プチとはいえ連載ものはこれがはじめてなんですよね。

料理陰陽師小松 其の三

「このぷにぷにしたのなんだ?」
「がんもどきです」
「雪みたいなだな、これ」
「ごま豆腐です」
「月みたいな色の薄っぺらいこれは?」
「生湯葉巻の煮物です。青菜、椎茸、大豆などを包んでいます」
「人間の食べ物がこんなにうまいなんてはじめて知ったぜ」
さっきまでつまらないと思った酒もすすむ。
「今までなにを食べてたんですか?」
「酒」
「お酒は飲み物ですよ」
「酒を飲めば十分なんだよ、おれは」
たまに仲間が珍しい木の実や、その年一番に実った果物をくれるが、おれは基本的に酒だけで生きていけた。
「うまいもの食わしてくれた礼に教えてやるよ。美食會の奴らはめちゃくちゃ強いぜ。おまえなんか瞬殺されるのが落ちだ」
奴らは縄張りなんて関係ない。だから逆におれたちが住む美食山に侵入しない。人間がいる方へ向かう。
おれらもおれらでこの山から出ない。
ここにはあいつがいるからだ。
「ご忠告ありがとうございます。でも今、その妖怪たちに都の人々が苦しめられています。退治しなくてはいけません」
人間は重箱を片付けふろしきで包みなおすと立ち上がる。立ってようやくおれと同じ目線になった。
「間違えてごめんなさい」
柔らかな目だった。おれを前に恐れないのはよほどのアホか、腕に自信があるのか。
どっちだっていい。
「トリコだ」
思わず自分の名前を明かした。
「おれの名前はトリコだ。覚えていてくれ、小松」
のちに仲間に自分の名前を明かしたことで大ひんしゅくを買うが、
「はい、トリコさん」
笑顔で名前を呼ばれて、すべてがどうでもいい気がしてきた。
『餌付けされるな』と毒舌家の仲間の声が聞こえそうだ。

続く

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