昼の連ドラ風ココマを妄想しています。詳しくは考えてませんが、ココのばあやがセツ婆なのは決定事項です。
「セツ婆さまは知ってますよね？ ぼくと小松くんは・・・本当は兄弟なんですか？」
兄弟というハードルもだけど、同性のハードルもあるからねココさん。
とりあえず、血の繋がった兄弟疑惑は定番です。
6-6/リーマンココマ
「きみがご執心の料理人がいると聞けば気になるじゃないか」
「冷やかしならご遠慮ください。料理人は見世物ではありませんから」
目上の者に丁寧なココにしては対応が冷たかった。サニーが小松に事情を説明する。
「あいつ、ココに気があるから松の存在がおもしろくないんだ」
小松の耳元でこっそり言うが、近くにいたココには充分聞こえた。ココは前をむいたままサニーを呼ぶ。
「いい加減に離れろ」
小松くんから、と、声にださない部分はサニーをはじめ小松にも聞こえる。
「きみの弱点にならなければいいけどね」と言い残してカステロは去った。小松にしつこく絡んだわりにあっさりとした引き際だ。
「無事かい、小松くん？」
「乱暴はされてません、大丈夫です」
小松が真面目にこたえれば、頭上からため息が聞こえた。
「暴力だけが、乱暴の全部じゃねえだろ」
トリコが小松の額を指で弾く。トリコ自身は軽くしたつもりだが、小松の頭は少し後方に引いた。
「ところで、四天王ってどなたです？ 有名な方ですか？ 知らないとこたえたらあの方が呆れてました」
小松の疑問に、ココたちの表情が微妙なものへと変わった。
「まあ、ぼくらのことだけど」
「ここにはいないが、ゼブラって奴を含めた四人が同期でな」
「おれとしてはもっと美しい呼称が欲しかったし」
会社内において、特別視される呼称がつくのは珍しいだろう。彼らの凄さを小松は垣間みる。
「小松くん、話があるんだけど、時間もらえる？」
「え？ これから本店で小松のランチを食う予定なんだけど？」
トリコがココに食ってかかる。
「今日の小松くんは会議で終了だ」
ココが冷たく言い返す。
「じゃあ、サニーのとこの肉っけ少ないランチを食べるか」
「来るな。おまえの大食いにびびって客が来なくなる」
サニーも冷たくあしらった。
時間があるなら、と小松がトリコに声をかけようとした矢先「行こうか」とココは促す。半ば強引にココの個室に連行された。時刻はお昼時で、通路には食堂や外へ食べに行くもので賑わっている。みんな、ココを振り返ってため息をついていた（主に女性）。
ココが仕事場として与えられた一室は、天井まである棚が資料で埋まり圧倒される。
ドアを閉めるとココは鍵をかけ、机に置いてある電話の線を引っこ抜いた。
「コ、ココさん？」
話し合いで密室にする状況がわからず小松は息を呑む。
「移動を願いでたって？」
かけられた言葉に小松の心臓が凍った。
「昨日きみが酔い潰れてなかったら、ぼくはなにをしでかしたかわからなかったよ」
ココの一言一言が小松に圧力をかけた。謝罪をしたくなる重さを小松は耐える。
「ぼくは認めない」
断言するココの宣言は小松にとって逆効果だった。
「満足に料理できない料理人を料理長にするなんておかしいです」
小松は、ずっと胸に抱えていた苦しみをココにぶつけた。口にした自分さえいやになる本音だ。小松の叫びにココが気圧された。
「これ以上、本店で料理をする自信がありません」
精神面の弱さは常に自覚している。揺るがない強さで料理がしたかった。迷いながら作る料理は誰も満足させられない。
「小松くんのいう料理ってなに？」
ココも強い口調だ。
「小松くんの料理は、食べてくれるひとを元気にさせる料理だよね？ おいしいものを作りたいというきみが、料理長にふさわしくないのが理由で料理から逃げるの？」
「逃げてなんか･･･」
小松は否定するが、梅田にも逃げるなと言われたことを思い出して、語尾が弱々しくなる。
「それともぼくから逃げたいの？」
鋭い指摘に、小松は今度こそ言葉を失った。知らず、小松は後ずさる。無意識の行動はココを刺激した。
ココが動いた次の瞬間、小松はソファに組み伏せられた。背中にクッションを感じて、口も片手で塞がれる。
「静かに」
小さな声は、近くのせいか耳に響く。心臓も早鐘を打ち、小松を混沌に陥れた。極度の緊張で涙目になる小松を見て、ココも苦しげな表情を浮かべた。
「ひどい真似は、しないよ」
続く
