こうみえても考えているんです、が・・・。
「協定」
三人でセックスをする関係になって最初にしたのはルール作りだ。曖昧にしてはいけないと小松くんは言った。
「ハント中は絶対にしません。キスもなしです」
トリコが小松くんなみのオーバーアクションで嘆いた。
「勉強としてハントについて行くのに、プライベートの立場を持ち込みたくありません」
ハントに同行するたびに職場に頭をさげる小松くんからすれば、言い分がわからないでもない。
「青姦・・・無理かな。いや、休暇中にハントに誘えば」
ぶつぶつと呟くトリコに小松くんの顔が青くなる。
「それから、えっちするときは三人でいるときがいいです」
口にするのがはずかしいのか、青かった小松くんの顔が朱に染まる。
トリコからの抗議はなかった。「その方がいい」と、むしろ進んで賛同する。この気持ちはぼくもわかる。小松くんのためを思ってというより、抜け駆けできないようにするためだ。肌を重ねる方が多ければ、もしかしたらほだされるかもしれない。もしかしたらなにかに気づくかもしれない。この関係がはじまったばかりのぼくらは、まだ氷の上を歩くように危なっかしい。
「でもよ、お触りぐらいはいいよな?」
ひいておきながらも自分も提案する。ぼくもすかさず賛成して、その条件に項目を付け加えた。
『入れないこと』
お触りなのだから、入れないのは当たり前だ。だけど「ちょっとだけ」と魔が差すのが人間だ。あらかじめ条件にいれておけば破れない。また、破れば傷つくのは小松くんだとわかっているので、「相手に黙っていろ」と言ってやりこめられない。
だからこそエスカレートするのだと、あのときは想像もしなかった。
小松くんを見ればわかる。トリコが手をだしたのだなと。別に腹は立たない。同じようにぼくも小松くんに手をだすから。
「トリコにはどこまで許した?」
路地裏の壁に小松くんを押し付けて、キスの合間に聞いた。服の上から小松くんを撫でる。膝で彼の股間を押し上げれば、震えながらぼくにしがみついた。
「いつも通り、です」
「いつも通りきみのこれ、飲んでくれたの?」
膝で小松くんを刺激すると、か細い声で「はい」と返事があった。
「ぼくも飲んでいい?」
「ここじゃ、いやです」
「そうだね、大声だして誰か来たら困るからね」
我慢するよともっともらしいことを言って、布地の上から小松くんの尻の隙間を指でつつく。
「ほしくても、きみも我慢して」
我慢できないようにしているのはぼくだけど、おそらくトリコも同じことをしているだろう。小松くんを煽るだけ煽って、「ルール」を逆手にとり肝心なところまでしない。
小松くんを見ればわかる。火種が燻っている。
「トリコもぼくも時間ができそうだ。今度いつ休み? 三人で会おう」
休みの確認ぐらい電話でできたけど、小松くんに会いたかった。会って、火種を植えつけたい。
「はい」とうなづく小松くんの夢の中にいるような危うさ。
次に三人でセックスするときが本当に楽しみだ。
まだ続く・・・!