「免疫」
「おまえが自分の精液舐めて抗体作って小松に投与すれば、生でやれるんじゃないのか?」
トリコが爆弾を投下するのは毎度のことだが、今回の発言は爆死しそうだった。待て、好意的に考えよう。小松くんにいれるときは、自分の体液を危惧してぼくは必ずゴムをつける。ゴムなしでやれるよう、トリコはトリコなりにぼくに気を遣ったのだ。と思い込もう。その方が精神的にいい。
「さすがに自分のを舐める気にはなれない」
トリコを殴りたい気持ちは抑えて返事をする。
「小松と生でやりたくないのか?」
痛いところを突くのはトリコの得意技だ。
「それか少しずつ小松に飲ませて免疫をつけてもらうとか」
「小松くんが困っているからこの話はおしまい」
ベッドのまんなかで、裸のぼくらがする会話にしては間抜けだ。小松くんは赤い顔でぼくらを見ている。なにかいろいろ想像しているらしい。動揺する姿が微笑ましい。何度、夜をともにしても彼はまだ慣れない。
「なに? 飲んでくれるの?」
ちょっとしたいたずら心でぼくは聞いた。本心は小松くんに得体の知れないぼくの体液を口にさせるつもりはない。
「ココさんの免疫ができるなら、それもいいかと思っています」
危険なのは予想できるのに、小松くんはこたえてくれた。
「嬉しいけど、お楽しみはまだ先でいいから」
ぼくの精液を飲むってどうゆうことかわかってる? ぼくのを咥えるってことだよ?
小松くんは「お楽しみ」の意味がよくわからないといった顔をするけど、「それもそうだな」とトリコはうなずいた。
「じゃ、再開ってことで」
トリコが小松くんの下肢に顔を埋めて咥える。それを横目で見つつ、快楽の波にさらされる小松くんの耳元でぼくはささやいた。
「いつかぼくにもシてね」
返事は気持ちのよい喘ぎ声だった
まだ続きます。