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WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'11.23.Sat
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2008'12.20.Sat
しょっぱなからDO☆してます。苦手な方はご遠慮ください。

夜よりも深い場所

 逃げられないよう毒を盛った。信頼を裏切るかたちになったけど、どうしてもきみを手に入れたかった。
 寝室を満たすみだらな嬌声と粘着質な音。人里離れ、空中住居のため周囲になにもないぼくの家は、静寂も消えそうなほど静かだ。そして静かなぶん情事が際立つ。
 誰にも渡したくない想いが、小松くんを抱く手を荒くさせる。
 四つん這いにさせた彼のそこをえぐるたびに悲鳴があがった。何度か繰り返すうちに媚薬の効果で愉悦にかわる。はじめての彼に強烈な快感と凶悪なセックスは負担でしかない。太陽のしたで笑うきみが、今は涙と涎にぬれて痛々しい。そんなきみも見たかったと言えば、どんな顔をするだろうか?

 ぼくのところに遊びに来た小松くんが、駅でぼくの占いの女性客を見かけ、「もてますね」と冷やかしてくれた。悪意のない冷やかしだ。ぼくにとって大変な好機となったのを、彼は気づかないだろう。
「こんな体だ。もてたところでね」と返せば、小松くんは黙った。もしかしたら彼は、ぼくの毒の体質をすっかり忘れていたのかもしれない。優しい青年の良心を突くには恰好のネタだ。
「でもココさんの体質を理解したうえで好きになるひとって、いると思います」
 小松くんは強く言った。彼のこんな優しさがときとして辛い。
「小松くんは平気かい? 好きなひととセックスできなくても」
「せ、ックスって・・・」
 ストレートに言えば、小松くんの顔が赤くなる。
「こんなふうに」ぼくは小松くんの手をとった。
「手を触れるのさえ相手に気をつかい、キスもためらう。毒人間の体液を受け止めきれるひとなんていないよ?」
 顔を近づけてささやけば、小松くんに動揺が浮かぶ。彼にできた隙を、ぼくは見なかったことにはできなかった。
(流されて)
 願うようにキスをする。気持ちはビクついているのに、キスに毒を含ませる卑怯な行動をしていた。
 小松くんの唇をさんざん貪ってから解放する。
「ココさん・・・?」何故という目で訴える小松くんに、ぼくは言った。
「受け止めてみる?」
 意識した訳でもないのに哀れな声がでた。

「ココさん、ココさん、もう、だめぇ!」
 切羽詰った声に煽られて、小松くんのなかで射精した。
 媚薬に犯された体は簡単に快楽に流され、男同士だというのに小松くんもイけた。前へ手をのばして残滓に濡れるそれを弄べば後口が締まり、残念に思いながらも自身を小松くんから引き抜いた。
 ゴムに溜まった精子には人体に悪影響を及ぼす成分が含まれているだろう。確認すれば成分もわかるが、あいにく自分のものを舐める気はない。
 口の方を縛りゴミ箱に捨てる。避妊具はこれで使い切った。これ以上はできない。
「ごめんね、小松くん」
 涙で濡れる目元にキスをすれば、ぴくりと震えた。下肢に目をやれば、ゆるく立ち上がったものが見える。薬が抜けていない小松くんのものに手を添えて、今まで乱暴な愛撫しかできなかったぶん、優しく扱いた。
 空いた手でぼくのものが納まっていた箇所を確認する。熱が伴っているが傷ついてはいない。内部を汚していないので後始末といったら小松くんの精液を拭うだけでいい。シーツで拭うのがもったいなくて、ぼくは太股を舐めた。小松くんの腰が揺れる。焦らすように中心に向かうが、硬さを取り戻した部分はスルーする。腹のあたりが一番汚れていたのをきれいにすれば、切なげな声が頭上から聞こえた。小松くんのものがすっかりたちあがっている。
「い、いれないんですか?」
 たどたどしい口調で小松くんが聞いてくる。
「ゴムがないからね、打ち止めだ」
「ま、・・・満足してないのに?」
 小松くんが消え入りそうな声でぼくの現状を指摘する。ゴムを使い切るほどシタのに、小松くんに触れたらまた力を取り戻してしまった。
「手で我慢して」
「できる訳ないじゃないですか!」
 小松くんが叫んだ。大人しくされるがままだった小松くんがぼくにしがみつく。その勢いに、たいした力ではないけど尻餅をつく恰好になった。
「ココさんは勝手すぎます。あげくに手で我慢しろなんて、ひどい」
 小松くんの怒りが、ぼくには理解できなかった。よほど間抜け面していたのだろう、小松くんは泣き笑いの顔でぼくに言った。
「占い師なのに、ぼくが誰を好きなのかもわからないんですか?」
「好きなひとが、いるの?」
 びっくりして聞けば、小松くんが苦笑した。
「臆病で自分からはなにもできないのに、待つこともできないココさんが好きです」
 さらりと、ずいぶんなことを言われる。
「ココさんの気持ちがかたまるまで言わないでおこうと考えてましたが」
「ぼくの気持ち?」
 不思議に思って聞けば、
「ココさんはぼくが好きですよね?」
 またさらりと言われた。
 驚きに呑まれてぼくが返事もできないでいると、小松くんの顔色がどんどん悪くなった。
「自惚れすぎましたか? だって、中性的でも女性的でもないぼくとわざわざセックスしたいなんて、好奇心じゃできませんよ? 好かれてるって勘違いしても仕方ないじゃないですか!」
 最後のほうはキレ気味だ。
 居た堪れなくなったのか、「帰ります」といって小松くんはベッドから降りようとした。その手を捕まえて抱き寄せる。
「自惚れじゃない、真実だから」
 どうして彼は。
 ぼくの下世話な策略も、品のない体質も、言葉足らずな性格も、ひっくるめてぼくを許してくれるのだろう?
「好きだからですよ」
 こたえてくれる一言は、ぼくが言えないとあがいていた好意に溢れている。
「ぼくも、好きだよ、小松くん」
 ごめんと謝れば「はい」とまた許してくれた。
 たまらなくなって小松くんにキスをした。うっかり毒を生成しないよう、自分をコントロールしながらキスをする。
 ぼくの首に腕を絡ませる小松くんも、今度は積極的だ。そして熱が燻った互いの体は簡単に火がついた。
「ココさん」とねだる声に、下肢が熱くなる。背中に回した腕を下げ、尻の狭間に指を滑らせる。
「指でもいい?」
 直接愛すのは危険だ。
「ココさんのが、欲しいです」
 うわごとのように小松くんが言った。首に絡んでいた手をはずし、ぼくのそれを後ろ手で撫でる。物欲しそうにぼくのを眺め、ぼくに「だめですか?」と聞いた。
「我慢できなくなるから煽らないでくれ」
 今すぐにでも貫きそうで、我慢するのが苦しい。彼の体をすとんと落とせば、簡単に貫ける体勢がまずいのはわかっている。
「今日はこれで我慢して」
 ぼくは小松くんの後穴に指を二本挿した。小松くんの体が揺れて、ぼくの腹に彼のがあたる。彼が流したものをすくって穴に塗りこめば、いやらしい音が響いた。指に慣れた頃に、ある一点を刺激する。
「やぁあ!」
 衝撃に身を固くする小松くんに、もう一度そこを突いた。小松くんの啼き声がやまなくなる。耳に心地いい声にぼくの体も熱くなった。
 小松くんを犯す律動にあわせてぼくも自分を慰めた。
 唇が乾く。水分がほしくて、ぼくは目の前の、同じように乾いた唇を貪った。彼の舌に絡ませて、抜くほどに強く吸いこみながら、指を三本に増やしてイイところを突けば、彼は吐精した。遅れてぼくも欲望の証を手に吐き出す。
 お互い、息が荒い。スポーツをしたような感じだが、余韻に震えてあえぐスポーツなんてありはしない。ぼくたちがしたのは紛れもなくセックスだ。
 好きなひとと体を重ねられるなんて、正直ないと思っていた。こんな体だといって、ひとと関わるのを避けてきた。自分でも壁ができていたのを知っていたけど放っておいた。誰も手を伸ばせない場所にいるぼくを、きみが捕まえてくれた。
 ありがとう。今度はぼくがきみを捕まえるから。

「ぼくみたいなひととわざわざって小松くんは言ったけど、そうでもないと思うよ?」
 小松くんにしては珍しく自分を下に見る台詞だったので訂正をしたら、
「それは・・・の欲目です」
 小松くんは微妙な顔で言い返す。声が小さくて聞き返せば、まっかな顔で叫ばれた。
「惚れた欲目ですよ!」

終わり
※最後の最後でお預けをくらうふたりが書きたかっただけ・・・。

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