2009'07.13.Mon
矛盾とパラレルとあほな展開を笑って許せる方だけご覧いただけると安心します。
料理陰陽師小松 其の二十二
景色がもの凄い早さで通りすぎていく。たまに頬や腕に木の枝がひっかかって傷をつくるが痛みはなかった。
小松が美食山にきている。落ち着いてなどいられない。衝動的に走り出したら止まらなかった。
・・・ずっと恐れていた。
今、小松に会えばおれはあいつになにをするのだろう?
わかっていたから会いたくなかった。だけど、小松の気を感じたらもうだめだ。
我慢していたものが一気に溢れた。
―欲しい。
その欲求が食欲かどうかなんてわからない。
ただ求めて走った。速度がおれを狂わせていく。
(小松、小松、小松)
ようやく見つけた小松に、走る速度をあげた。
「トリコさん」とおれを呼ぶ。
手を伸ばして掴んだ小さな体を引き寄せ、心の臓のまうえに顔を寄せる。良い匂いがして牙をたてた。
あとはいつものように喰らうだけ。
しかし味わう間もなくおれは正気に戻った。
「松!」
背後からのサニーの叫びに、おれは腕のなかにある、命を失ったものを見る。
胸が食い破られ、赤い血を流す小松。
喰ったのは、おれ。
続く
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