2009'07.10.Fri
矛盾とパラレルとあほな展開を笑って許せる方だけご覧いただけると安心します。
気づけば一ヶ月パラレルを更新してなかった!
料理陰陽師小松 其の二十一
トリコは人間ふうの「家」に住んでいる。手先が器用だからなんでも自分で作ったりしている。
長年住んでいるからそれなりにくたびれているけど、今は無残なあばら家と化していた。
家の中にこもっていて、中から溢れてくる妖気の濃さにうんざりする。
まったくもって美しくない凶悪さだ。
松がみたら腰をぬかすな、うん。
早く人間を食べて落ち着けばいいのに、いつものようにと言えば、トリコは苦しげな表情をして家にこもったのだ。それから一歩も家から出ずおれたちにも姿を見せない。
美食山の鬼大将が隠れているみたいだ。
「美しくね」仲間の無様な姿は見るに耐えないが、苦しんでる仲間を見捨てる気にもならない。
唯一の救いなのは松がいないことだ。
トリコは多分、見られたくないのだと思う。だから隠れている。
もしかしたら松を見て食の衝動があいつに傾く自分を恐れているのかもしれない。
「そんなに松が大事か?」
小さく呟けば、まるで反応するかのように家のなかにいるトリコの気配が静まった。
いや、違う、これは落ち着いたからじゃない。
嵐を予感させる静けさだ。
なにが起きた?
疑問を予想する間もなく、荒々しい気配をまとった鬼が表にでた。そして目にも止まらぬ早さでおれの横を駆け抜ける。
遅れて、おれは美食山に入った松の気を感じた。
まずい!
続く
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