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WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'11.23.Sat
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2011'01.15.Sat

かなりひさしぶりなリーマンココマ・・・書いた順からアップするという「自分追い詰める作戦」で書き続けたいと思います。


4-1/リーマンココマ

「ふーん、いい感じになったし」
 開店前のレストラングルメに現われた青年は、店内を値踏みした後、言い放った。上から目線と高飛車な言い方に、小松は反応できなかった。
「開店前ですので、もう少しお待ちください」
「客じゃねーし」
 青年は小松の対応を切って捨てた。
 足首まで届きそうな長髪は色鮮やかで、長身もあいまってかなりの長さだ。切れ長の瞳が小松に向けられる。迫力のある美形の視線に小松は緊張した。
「店長どこ? ここにいるって聞いたけど?」
「店長ですか? どちらさまでしょう?」
 小松が聞けば青年は微妙な顔をした。何者かはわからないが、彼の機嫌を損ねたと察知できて小松はびびる。
「おまえこそ誰? バイト?」
「レストラングルメの料理長を勤めてます、小松といいます」
 小松が自己紹介をすると、青年の表情が驚愕に変わる。
「おまえが?」
「そこまでだ、サニー」
 ふたりの間を第三者の声が割り込む。
「不審者がいるとスタッフが言うから来てみれば・・・」
 ココは来訪者に視線を流し、わざとらしくため息をついた。
「よりにもよっておまえか」
「不審者っておれ?」
「おまえ以外の誰がいる?」
 ココのきつい口調のなかに、青年にたいする親しみがあった。トリコに見せるのと似たレベルの言葉の応酬に、親しい間柄だと小松は察する。
「開店前になんの用だ?」
 ココが若干きつめにサニーに先を促した。サニーは一旦、小松に視線を投げかける。斜め上から視線を受けた小松だが、意味がわからず黙ることに徹する。
「おれが新しく立ち上げる企画、知ってるか?」
 サニーはココにもったいぶった言い方で聞いた。
「エステグルメだろ? 企画の段階で女性社員から期待する話題で持ちきりだ」
 ココの説明に、はじめて「エステグルメ」という単語を聞いた小松が片手を上げた。
「あの、エステグルメってなんですか?」
 女性社員でも知っているということは有名な話に違いないと小松は考え、グルメ情報にうとい自分を小松は恥じた。
「医食同源ってあるじゃないか? それと同じで、食事で美容を補うレストラン部門を、美容にうるさいこの男が企画を立ち上げたんだ」
「おれがしようとした説明をなんでおまえが先にする!」
 小松に説明するココにサニーが食ってかかる。
「部下の疑問にこたえるのが上司のぼくの役目だけど?」
「うざ、おまえ、いつからそんなキャラになったし?」
 サニーの睨みに怯むココではなく、そつのない空気で話が続けられた。
「それで?」と促すココの言葉を、サニーは荒い鼻息で返して口を開いた。
「おれのアイディアをかたちにできるセンスある料理人を探してる」
 サニーは小松を見て言った。
「おまえ、おれの料理人になれ」
 小松は言われた言葉の意味がわからず、必死に頭を回転させて考えていた。考えに集中するあまり、ココのひきつった表情に気づく余裕もなかった。
「・・・ところで、名前なんだっけ?」
 小松にたいするサニーの一言に、ココが切れて店から追い出したのは三秒後だった。

続く

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