忍者ブログ

TCK

WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'11.23.Sat
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2009'04.24.Fri
連作となります。1から続けて読んでください。
しかし恋の自覚のない視点というのは存外に難しいものですね。


◇ ◇ ◇

 仕事からの帰り道、外灯のしたに巨大な影を見つけてびびったけど、よく見れば覚えのあるシルエットだった。
「トリコさん?」
 こんな時間に現れるなんて珍しい。レストラングルメの営業時間はとっくに終わっている。
「どうしましたか?」
 それともどこかへ行く途中にたまたまぼくと会っただけ?
「アイアンナッツがたくさん採れたからおまえにやるよ」
 トリコさんは手にした袋をぼくに渡した。しかし哀しいかな、「アイアンナッツ」の殻は鉄の如く固く重く、クルミサイズなくせして十個となると重くて持てない。
 がんばれ、ぼく!
「ありがとうございます」重くてもめちゃくちゃ嬉しい。なにを作ろう! 自分の記憶にあるレシピをめくる。
「しまった、殻を壊す道具がない!」
 鉄の如く。そう、とんかちで叩いたぐらいでは殻は砕けない。
「しょーがねえなー」
 トリコさんが袋からアイアンナッツを取り出すと、親指とひと指し指の力だけで殻を砕いた。なんて力だ。
「ほらよ」と手の平に実を落ちる。
 食べられる喜びに胸をときめかせていたら、苦笑する気配を頭上から感じた。
「おまえって、本当に嬉しそうに食べるよな」
「おいしいものを口にする機会が嬉しくないなんてありえませんよ!」
 食いしん坊のトリコさんらしからぬ発言だ。
「そうじゃなくて」と言いかけた言葉が宙に消える。
「おれも嬉しいってことだ」
「?」
 おいしいものを食べる機会、についてだろうか? わからないけど、食べ物を見るときの表情とは違っていて、判断ができない。
 なにが嬉しいのかな、トリコさんは。

その笑顔見れただけで、なんか不思議とうれしくなる

word by 確かに恋だった「恋に気づかない彼のセリフ」

PR
[160] [159] [158] [156] [155] [154] [153] [152] [151] [150] [149
«  BackHOME : Next »
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
WEB拍手
つなビィ
カウンター
バーコード

TCK wrote all articles.
Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP  

忍者ブログ[PR]