忍者ブログ

TCK

WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'09.21.Sat
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2011'02.03.Thu
YES,節分、恵方巻!

『小松巻』

「来週の木曜日って空いてるか?」
 トリコの確認に、小松は手帳を見て休みであることを伝えた。
「ココも都合がつきそうだから会おうぜ」
 トリコの誘いに小松は喜んで承諾した。新年を向かえて一瞬休みがあったものの、3月までの大まかな流れ、バレンタイン企画の提案書の提出などで忙しくて、ゆっくり会える日がなかった。来週末からはレストラングルメもバレンタインフェア一色のため、2月3日木曜日がゆっくりできる最後の日だ。
 手帳に会う予定を書き込んでから、小松はこの日が節分だと思い出す。彼らをもてなす料理の一品が決まった。
「恵方巻」
 巻き寿司なら作ったことはあるが、縁起物の恵方巻に関して詳しくなかった小松は、早速調べた。七福神をちなんだ七つの具材を巻き込むアイディアに触発されて、いく種類もの恵方巻を作った。
「っつうか、やりすぎじゃね?」
 テーブルに並んだ恵方巻の山にトリコは呆れた。
「レストランでは、こういったものを作る機会がないのでついはりきっちゃいました」
 お吸い物を用意しながら小松は言う。
「小松くんらしいね」
 ココは微笑みながら席に着く。
「今年の恵方は南南東です。まるまる一本、願いごとをしながら食べるといいそうですよ」
 食べる間は無言で、と小松は注釈した。
「その小さい恵方巻は?」
 山盛りの恵方巻に比べて小さいサイズの巻物があるのを見つけてココが聞く。「ぼくのぶんです」と小松はこたえた。
「おふたり用に作ったものを食べたらぼくの顎が外れちゃいます」
「だけど、おまえおれの・・・」と、トリコが言いかけてココが青い髪のはたいた。
「なんだよ?」
「食事前の会話じゃないだろ」
 ふたりの会話のやりとりが小松にはわからなかったが、よくないものを感じてスルーした。
「いただきます」とふたりが言って恵方巻にかぶりつけば、小松も倣って巻物を口にいれる。
 ココが静かに食べる横で、食べ物など一瞬で食べるトリコが何故かゆっくり食べている。小さいサイズのものだった小松はすぐに食べ終わり、彼らが食べ終わったら次の料理の用意をしようと思いながらお茶をすすった。
 一気に食べるため、みんな無言だ。恵方を向いて食べるふたりの横顔を小松はやることもないので眺めていた。
 視線を感じたのかふたりは小松を横目で見やり、トリコが食べながらにやりと笑った。意味ありげなひとの悪い笑みに小松は緊張する。ココの方に目をそらした小松はすぐに後悔した。
(ココさん、もっと普通に食べてください!)
 小松は心のなかで絶叫した。
 トリコの食事もセクシャル的だが、まさか品性を重んじるココの食事風景を見て悲鳴をあげるとは思わず小松は泣きたくなった。
 食べ終わったココは、唇についたのりを舌でなぞってとる。
「おいしかったよ、小松くん」
「まだ、たくさんあるので、どうぞ」
 ココの顔がまともに見れずに、小松は手の仕草で料理を勧めた。
「今度は小松くんの恵方巻が食べたいな」
「じゃあ小松にはおれの太巻きを食べてもらうかな」
 久々の逢瀬とはいえ、しょっぱなから色事マックスな会話に小松はめまいがする。
「しょ、食事が・・・」
 抵抗を示せば、ココが席を立って小松の前に移動する。
「小松くんの、こんなになってて料理できるの?」
 するり、と小松の股間をココは撫でた。
「あ」とため息のような声が小松の口から零れる。思わずでた声に小松は顔を赤らめた。ココは満足気に微笑むと、小松を抱きかかえてトリコに言った。
「さきに頂いてるよ」
「おう、食べ終わったらすぐ行く」
 小松を挟んでの会話はこれで終了した。
 この夜小松は、自分がけっこうな大口であるのを知った。

終われ

PR
[712] [711] [710] [709] [707] [706] [705] [704] [703] [702] [701
«  BackHOME : Next »
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
WEB拍手
つなビィ
カウンター
バーコード

TCK wrote all articles.
Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP  

忍者ブログ[PR]