決してド○モ携帯的なものではありません。
ココマ携帯
「誤解」
『通勤途中の公園で、木に咲く純白の花を見つけました。
名前はわからないけど、木の枝にくくられた表示に「モクレン」と書いてあったので、多分モクレンだと思います。大きくて花びらがきれいです。携帯で撮った写真を送ります。
ココさんに似合いそうな花ですよ』
「小松くんはなにかぼくを勘違いしていると思うんだ。以前は水仙をプレゼントしてくれたし。いや、小松くんからの贈り物に不満がある訳じゃない。ただぼくを花を愛でるような男と思っているようなら、その誤解をどう解こうかと考えると夜も眠れない」
小松から送られた写メールを見せられたトリコは、うんざりしながらココの話を聞いた。
ごはん付きでなければ一分でも聞いていられない話だ。
携帯画面の花は白く、これをココに見立てた小松の感性をトリコは疑いたくなる。
そして「誤解だ」といって嘆く友人の、携帯の待ちうけ画面に映る人物を見てごはんを喉につまらせそうになる。好きな人を待ち受けにする乙女ぶりに、小松の感性もあながち間違いではないと思い直すのだった。
「便利?」
軽快な音が聞こえた。
トリコは音の発信源である携帯電話を見やる。
木のテーブルに置かれた黒いボディのそれはココのものだ。
「小松くんからメールだ」
ココは携帯に手を伸ばした。
「小松からの着信音は変えてあるのか?」
機械の類を不得意とする友人の変わりようにトリコは感心したが、返ってきたのは常識はずれのこたえだった。
「そんな面倒なことはしない。メールが届いたときの電磁波で小松くんからだってわかるんだ」
ココの目には有機、無機の物体の電磁波が視える。「視える」に関してトリコは大概驚かないが、とはいえ、これは突飛すぎてつっこみようがない。
いつかココの目には、ここにはいない小松の姿の視えるのではないかと危惧してトリコは窓の外を見るのだった。
「会いたいときに会えるなら」
携帯電話に利便性を見出せなかったけど、小松くんも持っていると知り、ぼくも持つようになった。
番号やメールアドレスを交換して、メール、たまに電話をする。
遠く離れているけど、離れている感覚はない。
けれど会いたい。
ぼくがうさぎなら淋しくてとっくに死んでいるだろう。
「ハントの最中に気持ち悪いひとりごと言ってんじゃねえよ!」
「すまない、口に出してたか?」
まずは目の前の獲物を捕獲して、それをみやげに小松くんに会いに行こう。
うん、俄然やる気がでた。
仕留めるぞと言えば、こっちの台詞だとトリコに返される。
理由なんてなくてもきみに会いに行ける関係に早くなりたい。
ココマ携帯シリーズ、被害者トリコでお送りしました!