「夢みるスイーツ」 サニコマ
「サニーさんってトロピカルサンデーですよね」
突然の小松の発言に、「なにそれ?」と淡冷口調でサニーがつっこむ。
「トロピカルサンデーはホテルグルメ喫茶室の夏の新メニューです」
小松の解説は冒頭の台詞の意味には繋がらない。テンポの悪い会話にサニーが少し苛立つが・・・。
「メロンのソルべに、夏果物を乗せて、柑橘シロップのカキ氷で組み合わせたスイーツでして。他にもいろんなカキ氷スイーツがあるんですけどね、グラスで眺めると本当にきれいで、トリコさんじゃないですけど全種類制覇したくなるんですよ。一押しがいろとりどりを絶妙に配置したトロピカルサンデーで、って、サニーさん?」
本人無自覚な遠まわしの褒め言葉に、サニーは頭を抱えるほど照れていた。
「夢みるスイーツ2」トリコマ
食いしん坊のトリコが、スイーツだけを目的に小松にねだるのは珍しかった。
「どうしてまたオムレットなんですか?」
幾種類もの美味を求めるトリコが、オムレットだけを要求する。
大量の小麦粉、卵、砂糖、牛乳、生クリーム、果物を持参したトリコは、小松がオムレットを焼く間生クリームを泡立てていた。
「オムレットを思い出したら、急におまえを思い出して食いたくなってよ。食べたいままにガツくのも壊れるだろうから、まずはオムレットでクールダウンしようと思って」
トリコの発言に小松は青ざめる。かろうじて「食べ物で不埒な想像をするなんてバチがあたります」と叱った。
甘く、柔らかいオムレットはおまえを思い出す。
「夢みるスイーツ3」ココマ
「雑誌に載ってたお店でコーヒーゼリーがお勧めだったんだ」
ココはそう言って小松の前に現われた。小さな紙の箱の表面には水滴が滲んでいる。
クーラーの効きが悪い部屋で申し訳なかったが、小松はココを部屋にあげる。
「ココさんというと紅茶のイメージが強いのでコーヒーは意外な感じがしますね」
「そうだね、ぼくもあまりコーヒーはスイーツまで手をひろげるほど興味はなかったけど」
けど、という言葉を最後に、ココはスプーンでゼリーをすくった。食べはじめる彼にならって小松もコーヒーゼリーを口にいれる。
「苦いけど、生クリームの甘さが絶妙にいいですね!」
感激する小松に「でしょ?」とココは笑いかける。
まるで恋のようなスイーツ。