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WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2025'04.06.Sun
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2010'02.10.Wed

思いたったが吉日なので書きました。
ココマ原稿の間にサイト用のココマ小説を書く。。。


跪いて愛を乞え-前編-

 ココがレストラングルメで食事を楽しんでいるときに事件は起きた。
「料理長をだせ」
 ココの席から離れていない場所で食事をする男が不機嫌も露わに給仕に告げた。声はココだけでなく周囲にも届き、不穏な空気が密やかなざわめきが生む。
 対応した給仕が用件を尋ねれば、「料理の不始末だ」としかこたえない。男が指す皿を見て、給仕は厨房に戻り、間もなく小松が現れた。厳しい表情が状況の重さを語っている。
「一流のレストランが聞いて呆れる。料理に虫が入っているとはな」
 男は小松に非難を浴びせた。食事中のテーブルからナイフとフォークを置く音が聞こえ、小松の顔がみるみる青くなっていく。
(やってくれるじゃないか)
 ココは問題が起きたテーブルを静かに見つめた。男からはもともと良くない電磁波が視えて気になっていた。悪意を感じる。それが事件を故意に起こしたかどうかまでは判断するには情報が少ない。
 思い立ったが吉日とする友人と違いココは慎重派だ。確証のないものに動くつもりはない。だがココは席を立った。
「失礼」と何食わぬ顔で小松の横に立つ。
「なんだおまえは」と男が突如現れた青年を不躾に見ている間、ココは問題の皿を見た。
 野菜と同色の青い虫が転がっている。
 そしてココは男を視る。見るに耐えないと感じるのは、顔の造作ではなく心の醜悪が大きく左右した。
「ミナミドリムシに見えますが違います」
 ココが言えば、男は「虫には変わりないだろ」と返した。
(馬鹿な奴)
 ココは静かに嘲笑する。
「よく似ていても、これは紅玉虫です」
 ココの説明に男は理解できなかったが小松は察した。
「虫ですが肉食です。まかりまちがっても野菜は食べません」
「これが、その紅玉虫だという証拠はあるのか?」
「簡単ですよ」
 ココは男の手の平を上に向けると、虫をつまんで乗せた。そして両手で男の手を包む。
「紅玉虫の名前の所以は、体液が赤いからですよ。潰せばわかります」
 ココは両手に力を込めた。
「こ、ココさん!」
 小松が止めに入る。男は悲鳴じみた声をあげた。
「もし違っていたら・・・ミナミドリムシならどう責任をとるつもりだ」
 男の脅しに、ココではなく小松が顔色を失った。
「レストランで起きたことでお客さまのココさんを巻き込む訳にはいけません」
 小松の制止を、ココは聞こえない振りをして話を続ける。
「四天王ココの見立てが間違いなら、お詫びに跪いて貴方の靴に接吻をしましょう」
 ココは悠然と微笑んだ。その微笑を消さぬまま、零下の声で男に告げる。
「ですが紅玉虫なら、それは絶対に野菜のなかには紛れない。あきらかに外部から持ち込まれたものです。この意味わかりますよね? もし策略でこのレストランを陥れようものなら、貴方の親類縁者に害が及ぶほどの反撃をさせてもらいます。覚悟はおありですか?」
 ココの声に、男のみならず小松や周囲の人間を戦慄に巻き込んだ。
「もちろん貴方のレストランも無事では済みません」
 ココの言葉は男にとって決定打だった。そうでなくても「四天王」の名前をだされて怯んでいたのだ。初対面なのに自分の店の存在まで知られている不利さに、ようやく男はことの重大さに気づいた。
「やめてくれ」と悲鳴を上げるが、ココは手を離さなかった。
「ココさん、やめてください」
 小松がココの腕を掴む。怯える男にココは止めを刺すつもりはなかったが、釘をさしておこうと思った矢先、昔なじみの声が重なった。
「小松―、腹減ったからなんか食わせてくれー」
 レストランを定食屋と勘違いする台詞に店内の力が抜ける。ココと小松が呆れるなか、トリコは呑気だ。
「おー、ゲテモノフェアでもやってるのか? 紅玉虫なんて珍しいものだしてるな」
 男が皿に放り出した虫をトリコは指で摘んで口に放る。
「やっぱこいつは鮮度が命だよな。味が落ちてる」
 場が凍りついたのは言うまでもない。
 状況を知らないトリコの食いしん坊の結果が、レストランの濡れ衣を晴らしたようなものだった。男が逃げるように席を立つと、小松は「お代は結構です」と断り、店内の客には騒がせた侘びとしてドリンクをサービスするよう手配した。
 突然のトリコ来訪に従業員も嫌な顔は見せず、限度はあるが精一杯もてなした。無論、小松とレストランを守ろうとしたココの行動に従業員らの好感度は上がったが・・・不貞腐れる者がひとりいた。
「もう二度とあんな行動はしないでください」
 閉店後、ヨハネスにレストランで起きた報告をしていつもより遅い帰宅となった小松は、ホテルの側の公園のベンチに座るココを見て感謝よりも彼を責めた。

続く

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