トリコBD話になる予定・・・終わりは見えていてもたどり着くまでに時間がかかりそうな予感が今からしています!
タイトルがふざけていてすみません(汗)
1/時を駆ける小松
トリコさんと熱をわかちあった後、眠る暖かさが好きだ。トリコさんの腕のなかは気持ちいい。筋肉の固さも気にならない。
いつもは朝までぐっすり眠るけど、この日は何故だが目が覚めた。トリコさんの寝顔が近くにある。ぼくを潰さないよう、腕のなかはちょっとだけ隙間のある。ふいに思いついてぼくは、体をずらしてトリコさんの頭を抱いて眠る体勢になった。体格が違うので当然トリコさんの頭は大きい。
青い髪からシャンプーの匂いと汗の匂いがする。トリコさんがぼくの匂いをしきりに嗅ぐ気持ちがなんとなくわかる。安心する。ぼくは呼吸ひとつの間に眠りに落ちた。
夢というのは現実味がない内容が多いけど、この日見た夢は妙にリアルだとぼくは思った。病院みたいに白い壁と、雑然とする書類の山のアンバランスさ。映画で見た記憶が残っているのかな?
夢のなかのぼくは透明人間で登場人物ではなかった。ぼくの夢なのに変な話だ。
『力があり余っているなら闘わせればいい。猛獣如きに食われるならそれまでの存在だ』
白衣を着た男が言う。医者というより科学者のような風貌だ。冷たい言い方に夢だというのに気分が悪くなる。
『闘えと言って素直に応じる連中ではないぞ』
『報酬という餌を与えておけ、バトルコロシアムの余興もマンネリすぎて奇をてらいたいと言っていただろ』
知っている単語がでてきて驚いた。バトルコロシアムって言えば、捕獲レベルの高い猛獣たちを戦わせて行われる賭けだ。
トリコさんがバトルウルフの母親を助けるため、バトルコロシアムに乱入したときを思い出す。胸がむかむかした。トリコさんが現れたとたん、電光掲示板に名前がのり、オッズで一番になった。命の危険のある瞬間に人間を賭けの対象にするなんて許せないし、悔しかった。
バトルコロシアムでトリコさんがなにをしていたのか、話してくれないけど、想像するに容易かった。
見世物にされていたんだ。自由気ままなトリコさんが。
一体いつから?
『いいぜ、おれは別に。報酬の約束を忘れるなよ』
知っている声が聞こえた。ぼくの知るトリコさんより随分と若い少年がいる。大きい、でもまだ幼さが宿る顔つきだ。
「トリコさん」
思わず叫べば、「なんだ?」と耳元で返ってきて目が覚める。目の前には朝の光とトリコさんのアップがあった。
「・・・夢?」
リアルすぎて心臓が騒がしくなる。
「夢にまでおれがでたか?」
嬉しそうにトリコさんが笑う。屈託のない笑顔だ。夢で見た冷たい表情のトリコさんとは違う。切なくなってトリコさんの頭を抱きしめれば、なにを勘違いしてくれたのか朝っぱらから盛ってくれた。
「や、ちょっと、朝ごはんの準備が・・・」
朝ごはんの準備といえど、トリコさんの分となると大がかりだ。
「今日は外で食べるか。でもまずはおまえを食いたい」
昨日散々シタのにと文句を言う前にキスで塞がれ、休日は朝から大層濃いものになりました。
続く