今日で5月が終わるだと・・・!?
6/時を駆ける小松
無理矢理目覚めた感覚は気持ち悪く、その後のぼくは眠れなかった。トリコさんの寝顔を眺めながら彼らの過去を思う。
箱庭にいる生活。窮屈そうな毎日を送っているけど、仲間の存在が彼らを支えている。
たまにバトルコロシアムで闘う。傷つく姿が痛々しい。トリコさんの闘いは派手で観客からの喝采も大きい。やめさせたい。やめさせる力がないのが悔しい。
悔しくて涙が零れた。トリコさんの頬に落ちる。些細な感触に気づいたのかトリコさんのまぶたがうっすらと開く。
「また泣いてるのかよ」
トリコさんの大きな指がぼくの目尻を撫でる。
「最後に見た時も泣き顔だったから後味悪かったぜ? ほら、笑え」
涙で濡れた指を口元に移動させ、ぼくの口の端を持ち上げて笑わせる形にする。
よし、と呟いてトリコさんは再びまぶたを閉じた。
寝ぼけているのかな?
翌朝、目が赤いぼくを見てトリコさんは「疲れが取れないほどしたっけ?」とあほなコメントをしてくれた。昨夜のことは覚えていないようだ。
朝ごはんを用意しながら、ぼくはしばらくトリコさんと会うのをやめようと決意した。
「来月の25日は空いてるか?」
トリコさんがぼくの予定を確認する。ハントかな?
「しばらくはちょっと。これから大型連休がはじまりますし、それが過ぎたら夏のメニューのため忙しくなるので、しばらくはここに来られません」
夏メニューの話は本当だから信憑性があった。
「ごめんなさい」
会って、夢を見て、過去に下手に介入するのは危険だ。なにが原因で過去に行けるようになったのかわからないなら、慎重になるしかない。
ぼくはトリコさんの庭時代の苦痛よりも、トリコさんと一緒にいられる未来を選んだ。自分の心の狭さに嫌気がさす。
「まあ、そんなに落ち込むな」
慰めてくれるトリコさんに泣けてきた。
大好きです、トリコさん。ごめんなさい。
続く