2010'05.28.Fri
トリコ誕生日ネタを前提に書いているのに、誕生日前後は全然アップできなかったわ・・・。
5/時を駆ける小松
「風邪ひくそ」
トリコさんの声でぼくは目が覚める。目の前には朝の光とともに見慣れた愛しい男がいた。ぼくを覗き込むトリコさんの首に、思いっきりしがみつく。
現実のトリコさんだ。
「なんだよ、ひとりは淋しかったのか?」
からかう口調に喰って返す余裕もなく、ぼくはうなずいた。トリコさんの空気が変わる。まずい、と思った瞬間、トリコさんからいきなり濃厚なキスが贈られた。
「や、トリコさん、朝から・・・」
「場所、時間に関係なく発情できるのは人間の特権だよな。人間でよかった」
ぬけぬけというトリコさんの髪を引っ張って抗議したけど、笑われておしまいだ。
朝から激流に呑まれ、昼前に「ご飯を」と訴えてようやく解放される。一緒にベッドにいたけど、眠る機会がなかったので今回は夢を見なかった。
節乃さんの梅干をイメージしていたので、和食をメインとした料理を並べる。ふたつある炊飯器で(何十万単位でびびった)ひとつは白米、もうひとつは梅干をつかった炊き込みご飯を作る。
出来上がる端から食べていくトリコさんに、ぼくは聞いた。
「節乃さんは行儀作法に厳しい方と聞きましたが、トリコさんは節乃さんに教わったんですか?」
食に対しての礼儀。外で食べる時は必ず正装だし、フォークとナイフだって使う。家だとたまに手掴みだけど。
「ガキの頃な。ちゃんと講義を受けていたのはココとサニーぐらいでおれとゼブラは脱走ばかりしていた」
その後の節乃さんから頂いたお灸は恐ろしかったとトリコさんは真顔で震えた。その様子がかわいらしくてぼくは笑ったけど、心中穏やかではいられなかった。
記憶の共有、もしくはぼくの想像。だけど、ぼくが見る夢(?)はどれにもあてはまらない。現実にあったことなのに、トリコさんの知らない場面がなんでぼくに見えるのだろう?
過去の記憶なのに、なぜぼくは介入できる?
「小松?」
急に黙りこんだぼくに、トリコさんが食事の手を止めて呼んだ。なんでもないとこたえたけれど、このときぼくは、トリコさんがなにを思ったか察しようとはしなかった。
フルーツ梅のハントの話を聞き、明日は早いからと言ってベッドに入る。朝からイタして夜も、というのは明日に響くので挿入なしのセックスをした。トリコさんのを毎回受け入れていたら体がもたいない。挿入のないときのトリコさんは妙にしつこくて、終わった後はいつもぐったりする。この夜も体中精液でべたべたになるまで行為が続いた。
いつもの夢がはじまる。トリコさんがいる場合は後についていく形になるけど、ぼくは離れて建物を見て回った。足音はない。足元にぼくの影は映らない。ガラスを見てもぼくは存在しない。それなのにぼくは、確かにここにいる。
『動くな』
鋭い声にぼくは足を止めた。
振り返ればココさんがいる。
『・・・ぼくの言葉がわかるというなら人間か? トリコとよく一緒にいるな?』
ココさんは得体の知れないぼく(影しか視えない?)に警戒心をむき出しにした。
「怪しい者じゃありません」
充分に怪しいと自分でも思うけど、敵意はないと伝えたい。けれど、ぼくの声はトリコさんに届いたようにココさんには届かなかった。
どうしよう。
『・・・そんな困った風にされても』
ココさんも困った顔をしていた。
『幽霊、かな?』
いえ、生きてます。
『何だろう? トリコに聞けばわかるかな?』
得体の知れない存在に疑問を持つのはおかしいことじゃない。だけど、これが本当に過去なら、いるはずのないぼくを知られるのは歴史を変えることになるんじゃないのか?
ぼくの存在を知った程度で歴史が変わるとは思えないけど、彼らの未来を変えてしまう可能性・・・いや、ぼくとトリコさんに関わる未来が変わるのが怖かった。
ここに来てはいけない。
起きろ、ぼく。
トリコさんのもとへ帰るんだ!
続く
「風邪ひくそ」
トリコさんの声でぼくは目が覚める。目の前には朝の光とともに見慣れた愛しい男がいた。ぼくを覗き込むトリコさんの首に、思いっきりしがみつく。
現実のトリコさんだ。
「なんだよ、ひとりは淋しかったのか?」
からかう口調に喰って返す余裕もなく、ぼくはうなずいた。トリコさんの空気が変わる。まずい、と思った瞬間、トリコさんからいきなり濃厚なキスが贈られた。
「や、トリコさん、朝から・・・」
「場所、時間に関係なく発情できるのは人間の特権だよな。人間でよかった」
ぬけぬけというトリコさんの髪を引っ張って抗議したけど、笑われておしまいだ。
朝から激流に呑まれ、昼前に「ご飯を」と訴えてようやく解放される。一緒にベッドにいたけど、眠る機会がなかったので今回は夢を見なかった。
節乃さんの梅干をイメージしていたので、和食をメインとした料理を並べる。ふたつある炊飯器で(何十万単位でびびった)ひとつは白米、もうひとつは梅干をつかった炊き込みご飯を作る。
出来上がる端から食べていくトリコさんに、ぼくは聞いた。
「節乃さんは行儀作法に厳しい方と聞きましたが、トリコさんは節乃さんに教わったんですか?」
食に対しての礼儀。外で食べる時は必ず正装だし、フォークとナイフだって使う。家だとたまに手掴みだけど。
「ガキの頃な。ちゃんと講義を受けていたのはココとサニーぐらいでおれとゼブラは脱走ばかりしていた」
その後の節乃さんから頂いたお灸は恐ろしかったとトリコさんは真顔で震えた。その様子がかわいらしくてぼくは笑ったけど、心中穏やかではいられなかった。
記憶の共有、もしくはぼくの想像。だけど、ぼくが見る夢(?)はどれにもあてはまらない。現実にあったことなのに、トリコさんの知らない場面がなんでぼくに見えるのだろう?
過去の記憶なのに、なぜぼくは介入できる?
「小松?」
急に黙りこんだぼくに、トリコさんが食事の手を止めて呼んだ。なんでもないとこたえたけれど、このときぼくは、トリコさんがなにを思ったか察しようとはしなかった。
フルーツ梅のハントの話を聞き、明日は早いからと言ってベッドに入る。朝からイタして夜も、というのは明日に響くので挿入なしのセックスをした。トリコさんのを毎回受け入れていたら体がもたいない。挿入のないときのトリコさんは妙にしつこくて、終わった後はいつもぐったりする。この夜も体中精液でべたべたになるまで行為が続いた。
いつもの夢がはじまる。トリコさんがいる場合は後についていく形になるけど、ぼくは離れて建物を見て回った。足音はない。足元にぼくの影は映らない。ガラスを見てもぼくは存在しない。それなのにぼくは、確かにここにいる。
『動くな』
鋭い声にぼくは足を止めた。
振り返ればココさんがいる。
『・・・ぼくの言葉がわかるというなら人間か? トリコとよく一緒にいるな?』
ココさんは得体の知れないぼく(影しか視えない?)に警戒心をむき出しにした。
「怪しい者じゃありません」
充分に怪しいと自分でも思うけど、敵意はないと伝えたい。けれど、ぼくの声はトリコさんに届いたようにココさんには届かなかった。
どうしよう。
『・・・そんな困った風にされても』
ココさんも困った顔をしていた。
『幽霊、かな?』
いえ、生きてます。
『何だろう? トリコに聞けばわかるかな?』
得体の知れない存在に疑問を持つのはおかしいことじゃない。だけど、これが本当に過去なら、いるはずのないぼくを知られるのは歴史を変えることになるんじゃないのか?
ぼくの存在を知った程度で歴史が変わるとは思えないけど、彼らの未来を変えてしまう可能性・・・いや、ぼくとトリコさんに関わる未来が変わるのが怖かった。
ここに来てはいけない。
起きろ、ぼく。
トリコさんのもとへ帰るんだ!
続く
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