2009'10.18.Sun
矛盾とパラレルとあほな展開を笑って許せる方だけご覧いただけると安心します。
料理陰陽師小松 其の四十六
都から美食山に入る道はひとつしかない。
その道の真ん中に、小松は大きな敷布を引き、正座をして待っていた。
かつての仲間と会うために。
その話をココから聞いたとき、不本意だが美食山から離れる方向で話が動いた。
山に結界を張るには月が足りない。
「ココ、視えるか?」
小松が見えるぎりぎりに離れた木の上でおれはココに聞いた。
細い木の枝に立つココは「電磁波だけなら」とこたえた。
「なあ、本当にこんな遠く離れたとこにいていいのか? 松になにかあってもこの距離じゃすぐに助けに行けないぜ」
すぐ下の枝に腰掛けるサニーがおれたちを見上げる。
「あまり側に行くと陰陽師に気取られるって小松くんが言うから仕方ないだろ」
ココも納得できなくて不満顔だ。聞き入れたのは小松のお願いだからに違いない。
小松、小松か。そういえば近くで見ていない。声も聞いてない。話をしてない。笑う顔も見ていない。
助けに行ったときの一瞬なんかじゃ、足りない。
小松の料理も食べてない。
なんでおれはこんなにも「ない」ことにこだわるんだ?
「来た」
ココの声が鋭く告げる。
人間の匂いをおれは嗅ぎ取った。
小松と同じ人間で陰陽師なのに全然違う感じだ。
続く
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