早くトリコマ的展開に辿り着いて!! 私のなかでトリコマが足りない。
うおーーー!!!
料理陰陽師小松 其の四十八
「なんであいつら帰るんだ?」
ぼくらを倒しに来た陰陽師が、なにもせずに帰って行く姿を見てトリコが疑問を口にした。
「松がなんかした?」
サニーがぼくに聞いてくる。
小松くんの近くの枝にとまるキッスの目を借りて一部始終見ていたけど、特別なことはしていなかった。
だのに、陰陽師の連中は魂を抜かれたように黙ってお茶を飲んで帰った。
「なにもしてない。普通にもてなしただけだ」
『それが小松ちゃんの特別な能力なのよねー』
背後から、というありえない場所から聞こえる声にぼくたちは一斉に振り返った。
空中を。
そこには・・・人間だろうか? 宙を浮く派手な存在があった。
「誰だ」とトリコが叫ぶ。サニーも構えるが、ぼくの目にはその人物が人間でいないのが視えた。
「式神?」
以前小松くんが式神に自分の姿を映した術を思い出す。
『訳あってここには来られないからね。仮の姿で申し訳ないけどよろしく』
派手な身なりをした人物は、恰好に見合ったとんでもなさであいさつをしてくれた。
『小松ちゃんの元、とつくのが切ないけど、ボォスのウーメン梅田よ』
小松くんを追い出した陰陽師の仲間がなにを言いに現れた?
『不器用なあの子を守ってあげて』
おちゃらけた外見に似合わず、出た言葉は小松くんを思う願いだ。
『今回も隠れていればいいのに、わざわざ表にでて自分の居場所をばらしたり、適当にごまかしたりすればいいのに、正面きって戦って。命がいくつあっても足りやしない』
彼の(彼、でいいんだろうか?)心配事にぼくらは満場一致で同意した。
『大切にされているのね』
しみじみと呟く言葉に小松くんへの愛情が伺えた。
小松くんを見守る愛情は・・・男(だよな?)だけど母のようだ。
ぼくらの母は美食山で、彼には大地のような包み込む深さがある。
『お願いね』
と最後まで小松くんの心配をして、消えた。人型の紙が宙に舞い、塵となって消える。
陰陽師を追われたと思ったけど、それでも小松くんを大切にしているひとを知って安心した。
しかし、元ボスがそこまで心配するなんて、まだまだ嵐は収まらないようだ。
続く