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WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'11.23.Sat
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2009'11.05.Thu
矛盾とパラレルとあほな展開を笑って許せる方だけご覧いただけると安心します。

料理陰陽師小松 其の五十二

リンさんが案内した先にいた人物はぼくの予想通りの人物で、陰陽師のなかでも最高位に位置するマンサムさまだった。
「小僧に対する意見は内部でもいくつかに別れておる」
マンサムさまは太い指を二本立てる。
「美食山の妖怪の見張りにするか、生贄にするか」
どちらも聞こえはよくないけど、ぼくを処分する案が薄いというのは喜ぶべきか・・・。
「見張りの意味合いはわかるとして、生贄とは?」
「人間を喰う鬼の貢だ」
マンサムさまが言ったとたん、背中からもの凄い殺気を感じた。
遠く離れているのに、よくぼくらの会話がわかるものだと感心する。
「愛されておるなー」
彼ら三人の殺気を直接受けたマンサムさまは笑っている。豪胆な神経だ。
「わしとしては前者がいいと思う。小僧の身も安全だ。懇意にしておるのだろ? 美食山の妖怪と」
指摘に、ぼくは胸を張ってうなずいた。
今さら彼らと関わらない日常は考えれない。
「小僧の力は特殊だ。魔を祓うというより、誰もが持つ負の感情を穏やかにする能力だろう。特殊すぎて小僧の能力をどう区分していいかわからぬがな」
マンサムさまの言葉に、また背中に納得だと言わんばかりの空気が届いた。
「奴らの気を常に静めさせる方が小僧のためだ」
「ですが、もともと彼らは悪さなんてしません」
彼らの名誉のためにもぼくが言えば、マンサムさまは豪快に笑った。
「すまなんだな、小僧の好きなようにやればいい。人間の世界にも戻りにくくなっただろう。だが後悔のないよう生きろ」
言葉は、以前梅田さまから聞いたのと同じ内容だった。
陰陽師としての力量を認めながらも、それよりもぼく自身を心配してくれた言葉が嬉しい。
人間側から逃げたかたちになったぼくだけど、マンサムさまの言葉はひたすら感謝の思いでいっぱいだった。
ぼくの返事は決まっている。
「彼らを見張るつもりはありません。ですが、彼らと平穏に過ごせる努力は、この包丁にかけても誓います」

続く

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