拍手再録29

ツイッターで呟いた140以内なＳＳです。

「使い所」　トリコマ

　あまりにぼくを心配するトリコさんに（出会った当初のトリコさんと比）「ヤワじゃありませんから」と言った。
「おまえが精神的にタフなのは知ってるけどなあ」と、トリコさんはぼくを腕に抱きこむ。
「２回イッタぐらいで意識とばしちまう奴をヤワじゃないって言うのもなあ」
　それは体力の使い所が違います！

「落ちていくもの」　ココマ

　ぽろり、と頬を伝って落ちたぼくの涙をココさんが手の平で受け止めた。
「泣かないで」と、涙の跡を指先が辿る。
「君から生まれたものは涙だろうと落としたくない。哀しみだって受け止めたいよ」
　そんなふうに優しく言われて、ぼくの涙は余計に止まらなくなる。
　哀しみよりも、ぼくの好意を受け止めて欲しい。

「猫」　サニーと松

　実家で飼ってた猫は座ると左側の腿に頭を乗せていた。
　右手は書き物をしているため、左側なら開いてる左手で撫でてもらえるのをわかっていたからだ。
　構いすぎると逃げるのに、甘えたい時は計算づくで寄ってくる。
「サニーさん、足が痺れてきたんですけど？」
「松、がんば！」