忍者ブログ

TCK

WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'09.23.Mon
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2011'08.26.Fri
夏の暴力的な暑さは妄想力を掻き立てられますが、妄想する体力も奪われてるので大変です!

すべては夢の蝉時雨

夏の盛り、蝉の死体が道の先々に落ちている。
こんなにも暑いのに、昨日まではうるさいぐらい泣いていた蝉が物言わぬ塊になるのは、世の理だとしても無常を感じる。
道と小松くんが陽炎のように揺らめく。
「蝉みたいに一週間で消える命なら、ココさんはぼくにこたえてくれますか?」
地面に転がった蝉を見ながら小松くんが呟く。
ぼくのこたえは決まっていた。
「一週間後に消える命なら、黙って土に還るだけだよ」
土がぼくの体を受け入れるかどうかは別として。
たった一週間でも、それを理由に小松くんを手にいれる度胸はなかった。
そんな刹那的な関わりで、彼の一生のほんの少しを手にしたいなんて思わない。
「ぼくが、一週間後に消える命なら?」
小松くんがぼくを見た。
真意を知りたくて視ているのに、なにも視えない。陽炎のような景色だけだ。
「あなたの前から永遠に消えるとしても?」
責めるような声が哀しい。どこかで聞いたことのある声音だ。
「だめですか?」
追い詰める声が頭に鳴り響く。
小松くんの手をとれば、ぼくは地獄の底からでも彼をひっぱりあげるだろう。
世の理を覆してでも。

飛び起きた。
一瞬で今までの映像が夢だと理解する。
顔に手を当てれば、濡れるほど汗を滲ませた自分に気づいた。
・・・ばかな夢を見た。
となりに同じように裸で眠る小松くんを見下ろす。
静かだ。昼間の蝉の鳴き声など、嘘のような静けさだ。
狂ったように鳴く蝉が、ぼくになにか訴えたかったのかと考えるほどだ。
惑わされるな、ただの夢だ。

夜はひとを狂気に招く。


たけひよさんに捧げます!

PR
[820] [814] [813] [810] [809] [806] [804] [803] [801] [800] [798
«  BackHOME : Next »
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
WEB拍手
つなビィ
カウンター
バーコード

TCK wrote all articles.
Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP  

忍者ブログ[PR]