頑張る、私、自分の妄想を搾り取ってやるから!!
「無意識のデンジャラス」ココマ
「危ない、ココさん!」
泉にバランスを崩したココに向かって小松がとっさに手を伸ばした。このときの小松の頭には、ココが美食屋四天王として類稀なる運動神経を持ち、バランスを崩したところですぐに立て直せるという現実がなかった。
結果、勢いあまった小松を受け止めてココも泉に落ちるのだった。
「すみません」
泉に落ちて頭が冷えた小松は我に返り反省する。
「なんで謝るの? 嬉しかったよ。体重差をものともせずにぼくを引っ張ろうとするきみの心意気が」
小松を受け止めて体勢を整えられたにも関わらず、小松に見惚れて泉に落ちてしまうぐらいにときめいた。
(きみの無意識の行動が怖い)
「午前零時の」ココマ
ハントの流れでトリコと小松はココの家に泊まることになった。ハントの興奮と疲れで、食事をおえた小松は眠たそうだ。
それでもトリコらと話していたい気持ちが彼を起こしていて、その必死な様子がかわいくてココは微笑んでいた。
深夜にさしかかる頃、小松はついにソファの上で眠りに落ちる。
「トリコは客用の寝室を使いな」
ココは小松の脇と膝の裏に手を差しこみ抱えあげた。
「小松は?」
「ぼくのベッドで寝かせるよ」
「・・・・・・」
「それとも小松くんに客用ベッドを譲っておまえは床で寝るか?」
「で、おまえはどこで寝るんだ?」
「自分のベッドでだけど?」
「へーほー」
続けようと思えばいくらでも続く虚しい会話は、ココがトリコに背を向けることで終わろうとする。
「小松にいたずらするなよ?」
「わかってる」と言い捨ててココはリビングを後にした。
寝室のカーテンの隙間から月のあかりがベッドを照らす。
小松をベッドに寝かせてベッドボードの時計を見れば、丁度深夜を回ったところだった。
トリコにこたえた通り、小松を困らせるいたずらをする気持ちは断じてないとココは言い切れる。
しかし、
(いたずらじゃなければいいよね)
ココは小松の額を撫でた。
とりあえず、涎をたらす愛しい寝顔を一晩中眺めていようか。
「メモリアルデイズ」ココマ
ココの寝室にはいくつかの写真立てがあった。
過去の自分と、仲間の写真である。懐かしむためでなく戒めるために過去を飾っているのだからタチが悪いとココ自身自嘲していた。
「かわいい女の子ですね」
小松が遠慮なしに写真立てを見て呟いた。
女の子と聞いて覚えのないココは、首を傾げる。
一番古い写真には小さかったココしかいない。5歳のときの彼は髪は肩にかかっていて女の子に見えないこともなかった。
「ぼくだよ」
この頃は平均的な体格で、色白だったココは髪の毛の長さも関係して女の子に間違われることもあった。
「失礼しました」と小松は苦笑して、他に写真がないかと聞くが、
「ないよ、ぼくが持っている写真はここにあるものが全部だ」
全部、というなら少ない気がして小松は返事に困った。しかも最近のものがないように見える。
「じゃあ今度、写真を撮りましょう。ぼく、よく撮るんですよ」
意外に思えてココが「へえ」と呟けば、小松は照れたように笑った。
「趣味じゃなくて、仕事がメインですけどね。作った料理とか、食材の原型とか」
上手に撮れなかったらごめんなさいと、小松は謝る。
彼が撮るなら最高の笑顔になる自信がココにはあったが。
「小松くんと2ショットできるなら、いいよ」
最高の笑顔を残すより、最高の幸せを味あわせてほしい。
「え?」と驚く小松にココは「約束」といって話をまとめる。
後日、約束は果たされたが、その後写真にはまったココは小松を撮ることに目覚めた。
寝室には幸福を彩る写真が並ぶ。
まとまりのない話ですが、共通性は「センチメンタルココ」です。