ココ100%
トリコと話をしていたココが、急に顔色を変えてテーブルを叩きつけた。
「こ、小松くんが危ない」
未来を占うココの的中率をトリコは知っているが、それは相手の電磁波を視ての確率である。
午後から休暇の小松は、新しくできた店のランチを食べてアパートで「グルメ食堂」という映画を見ると言っていたのをトリコは思い出す。危険の匂いはない日になるはずだ。
小松に関してコンクリートであろうと火をつけて火事にするココに、説明する優しさはトリコにはなく、無難に「気のせいじゃねえの?」と返した。
「そんなことはない、小松くんに関わるぼくの占いの的中率は100%だ。先日、ぼくとハントに行く予想もあたったし、小松くんの帰り道でぼくと出くわしたし、映画にも行けた」
(いや、それは占いの結果じゃなくておまえの画策した結果だろ?)とは賢明にもトリコは口にしなかった。
トリコが遠くを見ている間に、ココは携帯をとりだし小松に連絡をとる。
「もしもし小松くん?」
トリコが止める間もない。
「今なにしている? え、アパートで映画鑑賞?」
ココが復唱するのを聞いて、やっぱりただの思い過ごしだとトリコは友人の行き過ぎた感情に呆れたが、
「暑いからパンツ一枚? そんな恰好をぼく・・・じゃなくて! 誰か見て小松くんに不埒なことをしたらどうするって言うんだ」
(すげーよココ)
小松に関してというか、彼に関してのココの危機感に働きかける超直感は占いとは別次元の存在だ。
「きみはもう少し注意した方がいい」
真剣に怒るココの言葉は、きっと小松に伝わるだろうとトリコは思った。
「誰も見ていないからってだらしない恰好はするなってココさんに叱られました。そうですよね、暑いからって気がたるんでました」
後に、気になったトリコが小松と連絡を取れば、小松からほがらかな返事があった。
100%の的中率も通用しない男に、だからこそ100%と言い切る男と疑問もなく偶然を信じるのだろうとトリコは思うのだった。
終わり