そして小ネタが降りてきます。
すごく気の早いカウントダウンネタです。
カウント/ダウン ラブ。というのは昔好きだったグループのメイン曲でした。
カウントダウンラブ
「カウントダウンパーティー?」
「はい。31日に店が終わった後、関係者を集めて今年はホテルグルメでパーティーが開催されることになったんです。トリコさんも参加しませんか?」
年末年始のパーティーは腐るほど招待を受けているトリコだが、今まで応じたことはなかった料理目当てで出席したところで楽しく食事ができないのは目に見えているからだ。
「小松は参加するのか?」
ふと、気になってトリコは聞く。彼の料理を口にできる機会を棒に振るつもりはない。
だが年越しのぎりぎりまで働く小松の、その傍らで食事をするのはトリコはつまらないと思ったのだ。
「料理の準備が終わったら料理人たちも無礼講だそうです。年越しをトリコさんと過ごすのも楽しそうですね」
楽しみだと笑顔で言われてトリコも悪い気がしない。
「余興もあるみたいだから気をつけてくださいよ、トリコさん」
余興如きでなにを気をつけろというのか、トリコは疑問に思った。
「カウントゼロと同時に照明を消すって言ってました。どっかの国の余興で、となりにいるひとにキスをしていいみたいですよ?」
「なんだそれ?」
くだらないとトリコは呆れる。しかしトリコは暗闇でも嗅覚を頼りにひとを避ける手段がある。
(だけど小松は?)
「餌食になりそうだな」
「トリコさんがですか?」
トリコの呟きに小松が大声で驚く。
「よし、当日はおれから離れるなよ、小松」
「ぼくが女性たちからトリコさんを守ればいいんですね? わかりました! っていうかもったいないですよトリコさん!」
セルフ納得と突っ込みをする小松に、トリコは急激に気力を失った。小松が誰かとキスをするかもしれないと思うだけで苛立つ理由を一瞬にしてトリコは理解する。
恋のカウントダウンがはじまった瞬間。
終わり