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WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'09.24.Tue
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2013'02.01.Fri
2011年の冬に拍手で流した「おかえりなさい、小松くん」シリーズ。
軽くココさんストーカーです。

***

「おかえりなさい、小松くん1」

連日ハードな勤務で、ようやく明日は休みだと思えば一歩進むたびに眠気が強くなる。
今日は風呂に入ったら寝よう。
明日の休みは溜まった洗濯をして、冷蔵庫の中身をチェックして、スーパー行って・・・。
眠い。
しょぼしょぼする目を擦りながらアパートのドアを開けると、
「おかえり、小松くん」
玄関口横のキッチンにはここにいるはずのないココさんがいた。
ピンクのエプロンをつけている。ココさんに合うサイズのエプロンはうちにはなかったはずだ。
「・・・ただいま、です」
どうやって部屋に入ったのかとか、なんでいるのかとか、エプロンは自前ですかとか、聞きたいことを考えていたらあいさつを返すしかないと思った。
「お疲れ様、風呂にはいる? お湯を溜めるから手を洗ってうがいして。風邪をひくと大変だからね」
甲斐甲斐しく世話をしてくれるココさんという妖精さんには後で突っ込むにして、手を洗ってうがいして、お風呂に入って、浸かりながら眠ってしまった。
翌朝、昼過ぎに起きたぼくは、昨夜のことが夢じゃないときれいになった部屋を見て思った。
ベランダには洗濯物が干してある。
テーブルに残されたメモは「朝ごはんは冷蔵庫に入ってます。ココ」と書いてあった。
昼ごはんになりました。と思いながら、洗面台に向かう。
「なんだんだろ、あのひと」
・・・・突っ込みどころが多すぎて、起きてすっきりした頭でも考えが追いつかないです、ココさん。

「おかえりなさい、小松くん2」 ※小松宅に不法侵入するココさん

「不法侵入です、ココさん」
アパートに帰ればココさんがいて、あいさつをすっ飛ばしてぼくは言った。
知人と呼ぶには親しくしているけど、無人の部屋に勝手にあがりこむのを許す間柄ではない。
不審なことはしないひとだとわかっていても、けじめはつけるべきだ。
「鍵はあいていたよ」
「適当に言わないでください」
強気で言えば、ココさんは哀しい顔をした。
「ごめん、帰るね」
マントを羽織ってココさんは帰る。
おかえりなさい、と言ってもらえなくて残念に思ったが、淋しいからって不法侵入から目をそらしてはいけない。
ふとテーブルを見れば、ぼくのキーホルダーがあったので驚いた。
本気で鍵をかけ忘れたのか?
慌てて追いかけたけど、ココさんの姿は見えない。
もの凄い罪悪感に気分が悪くなった。
家主不在の部屋に入り込んだ事実に変わりないと気づくのに三日かかった。


「おかえりなさい、小松くん3」 ※小松くんに不法侵入を注意されたココさん

帰り道、闇のなかに佇むひとを見てぼくはびっくりした。
ココさんだ。
「おかえり、小松くん」
そういって、片手にあるグルメケースをぼくに差し出した。受け取った際、触れた指先が冷たい。
「晩ご飯のおかず、いっぱい作ったからお裾分け」
ばかだ、このひと!!!
こんなことされて、好きなひとじゃなきゃドン引きされるってわからないのか?
300度くらい回転して、いっそかわいいって思ったけど、このまま曖昧に終わらせるのはだめだ。
ぼくは財布からきれいな鍵をとりだす。
「ぼくの部屋のスペアーキーです」
「うん」
「これから来る前にメールなり連絡をいれてくれるなら、鍵をココさんに渡したいと思います」
「つっこみどころが多くてあれなんだけど・・・」
ぼくの方こそいろいろつっこみたいという台詞は飲み込んで、話の続きを聞く。
「小松くんのメルアドと携帯番号をぼくに教えてくれるって意味だよね?」
ココさんは奥手かと思ったけど、なかなかどうして、前向きな思考回路にびっくりした。

「おかえりなさい、小松くん4」 ※小松くんをお出迎えするココさん

「おか・・・」
玄関を開けたココさんが、トリコさんの背中にいるぼくを見て固まった。
急遽ハントに出たぼくは、眠気に負けてトリコさんの背中で眠ってしまった。携帯のチェックはまるでできない状況だ。
いつも笑顔でぼくを迎えてくれるココさんの表情が険しい。
「なんでココがいるんだ?」
トリコさんは今までぼくらが、なんとなく話題にしなかった疑問をずばり口にしてくれた。
「好きなひとが疲れているならあったかいご飯を用意して待っていたいじゃないか」
ココさんも潔く口にする。
ピンクのエプロンは自前かどうか、結局聞けないまま今日まで至る。
聞けないのは、ぬるま湯が気持ちいいからだった。ぼくが悪いのか、ココさんが悪いのか、この際どちらでもいい。
けど、これはひどい。
「なんでぼくじゃなくてトリコさんに言うんですか」
ココさんの好意は感じていた。それなのに、ぼくじゃなくてトリコさんに言うなんてひどい。
「ココさんなんて大好きです。これは告白ですがぼくは怒ってますからね」
「まずはおれから降りてからココにケンカ売れ」
「あ、すみません」
「ごめん、小松くん!」
降りた瞬間、ココさんに抱きしめられた。
「本当はクリスマスに告白するつもりだったんだ!」
何故にクリスマス?
「ロマンチックでいいよね?」
すみません、ぼく、ココさんを勘違いしてました、いろいろと。
「クリスマスはハードな日なのでロマンチックな展開にならないと思います」
25日までは毎年デスマーチだ。かろうじて、年末のデスマーチのため一瞬だけ休みをもらえるけど。
「待ってるから大丈夫だよ」
がっかりするかと思えばココさんは笑顔だった。あれ、これはクリスマスの約束をしたことになるのかな?
「終わったかー?」
トリコさんが葉巻樹をふかしながら聞いた。
「まだいたのか?」
「ココさん!」
トリコさんを邪険に扱うココさんを叱るけど効果がない。トリコさんも気にせず「ココ、飯」と喜んで部屋にあがる。
「まったく」とココさんは不満そうだが、お出迎えのときみたいに不機嫌な雰囲気ではなかった。
ぼくを見てココさんが、「おかえり」と笑いかける。
「ただいまです、ココさん」
言ってから、ぼくはココさんにちゃんと「ただいま」とこたえたのははじめてだと気づいた。
三倍増しの笑顔が眩しい。

ハッピーエンドでターン終了!

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