グルメ226「ＶＳトミーロッド」

「コイツの正体を把握できていない」からの妄想。

グルメ226「ＶＳトミーロッド」

たったふたりの肉親だ。
「隠し事はなしだし」といえばリンはトリコの恋の話をして、聞くんじゃなかったと後悔した。
あれは何歳のときだ？
「お兄ちゃんも隠し事なしだしね！」
「お互いって言っただろ？」
なにを聞いているんだ、ばか妹。おまえに話さないことと言ったら、トリコのあんな話や、こんな話ぐらいだ。

『チャンスだ』
おれの内部で声がする。好き勝手望みをいう声だ。
四獣戦以来、ソイツはおれのなかで機会を伺っている。
いつか「おれ」を食い破るかもしれない悪魔だ。
もしかしたらもうひとりのおれかもしれない。それともまったく別のなにか、か。
ココやマンサムに聞けばなにかわかるかもしれないと思ったが、やめた。あいつらに話せばリンに知られる。

「隠し事はなしだし」
「お兄ちゃんも隠し事なしだしね！」

まあ、一度くらいは破っていいか。
いや、トリコの話はどんな些細なことでも隠しているから、二度目の約束破りだな。
三度目がないことを願う。

終わり