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WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'09.22.Sun
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2011'05.28.Sat
あ、うん、なにがしたかったというと・・・。

「無題」

「ココさん!」と叫ぶ悲鳴を、ココは痛みの後に聞いた。
青褪める小松には申し訳ないが、ココに焦りはなかった。
ココはゆっくりと、首を噛んだ虫を地面に払い落とした。
百足のような変な虫に噛まれたのは失態だが、ココの体は毒に対して500の抗体をもち、ない毒に対しては抗体を体内で精製できた。
小さな虫とはいえ、亜種なのかココの抗体は効果がなかった。
じわりと熱を感じてココは膝をつく。小松はもう一度悲鳴をあげた。
「大丈夫だよ」
心配する恋人にココは微笑む。小松を安心させることに気持ちが向くココは、精製がうまくできなかった。
(集中しよう)と気持ちを切り替えようとするが、ココを見る小松の涙目に心が乱れた。
「本当に大丈夫ですか?」
「体が少し痺れる程度で、命に別状はないよ」
毒が抜けるまで大人しくしていても、問題のないレベルだった。しかし、今はハントという目的がある。このハントのために、昨日は久々の逢瀬だというのに、小松と体を重ねない夜を過ごしたのだ。
「命に別状なくても心配なものは心配なんです」
小松はココに近づく。恋人同士の気安さからか、親密な距離になった。ココは軽く動揺する。
「抗体を精製するから、少し離れて」
じゃないと気持ちが乱れてうまく集中できない。とは、恥ずかしくてココは言えなかった。
「毒がうっかり滲むと心配だし」
ココは言い訳めいた台詞とともに、小松を押し返そうとする。彼の、らしからぬ口調に小松は、なにかを察した。
ココの要望とは反対に小松は体を寄せる。痺れもあり、ココは地面に尻餅をついた。
くらくらする。肩を押されたココは後に倒れるが、片腕をついて上半身を浮かせる。
「ココさん」と呼ぶ声の艶っぽさに、ココは幻聴かと思った。
小松がハント中に、ココに乗っかり夜を匂わせる声で呼ぶなどあるはずがないというのがココの見解だ。
体格の差は大きく、小松が腹に乗ってもココは苦にならない。
苦にならないが・・・。
「あの、小松くん?」
擦り寄せられた布越しに熱を感じて、ココの声は上擦る。
「ご、めんなさい、苦しそうなココさんが・・・、いろっぽくて・・・」
最後の声は小さな呟きだった。ココが苦しむ姿を心配しながらも、欲情する自分を小松は恥じた。泣きそうな表情は、さきほどと違って不安の色はない。
「家に帰るまで我慢できないの?」
興奮にたかまる熱をおくびにもださないでココは聞いた。
問いかけに羞恥を煽られた小松は、一旦腰を上げるが、膝立ちのまま動かなかった。布地を緩やかに押し上げる膨らみがココの目に映る。
「ココさん」泣きそうな声がココを「欲しい」と訴えている。
恋人の欲しがる姿に喜ばない男はいないだろう。
ココの咽が鳴る。
「おいで、小松くん」
ココは小松の腰を撫でた。小さな体がぴくりと揺れる。
「でも、ぼく動けないから小松くんがシテ、ね?」
囁けば、「はい」と返す小松の瞳がいっそう濡れた。

毒が体液を通して小松に移らないようココは抗体を精製して毒気を最初に消したが、知らない振りをして最後まで恋人に身を任せたのだった。

終わっていいよ・・・

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