忍者ブログ

TCK

WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'09.23.Mon
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2011'07.19.Tue

元ネタ=少/女/時/代の「バッドガール」を聞いて「ガールと言ったらカレ/ンダー/ガールを思い出すなあ」→「カレンダーと言ったら、日めくりレシピがあったら助かるよなー」→「毎日いろんな小松くんが見れたら癒されるよなー」

ネタの降臨なんて大体こんな感じ。
 


カレンダーシェフ

 また、不思議な企画を持ち出されたなと、ココはカップを片手にしながら、まじまじと小松を見つめた。
「毎年ぼくが見る側でしたが、今度は見られる側になると思っていませんでした」
 小松がIGOから持ち出された依頼は、「日めくりカレンダー」のモデルだった。といっても、彼自身がモデルになるのではなくメインは料理だ。
 季節ごとに料理の本は新しく姿を変えていく。主婦の味方、カレンダー一枚に納まるレシピで日々の献立を助ける。
 献立は日常で賄える食材ばかりで、長年、試しに作ってきた料理や、伝統の料理にアレンジを加えた料理をメモに書き溜めていた小松はレシピに困ることはなかった。
 カレンダーレシピには小松シェフからの1ポイントアドバイスが載っていて、微笑ましさにココは口元が緩んだ。
 声が聞こえてきそうな温かいコメントだった。
「まさか写真撮影をするとは思いませんでしたが・・・」
 夢見心地のココは、小松の言葉に首を傾げた。
「料理の写真の話だよね?」
 365食作るのが大変とは思えずココは確認した。
「いえ、料理ではなくぼくです。事務局長が「献立疲れの奥様に癒しの言葉が必要だ」っていうことで、何故かぼく自身をカレンダーにするということになり」
「却下」
 ココの決断にコンマの迷いはない。
「だめ、絶対にだめ。小松くんの写真が365枚? ぼくだってそんなに持ってないのに?」
「カレンダーは一部差し上げますよ?」
 ココの怒りがわからない小松は、ずれた返事をした。
「そうじゃなくて、主婦層にまで手を伸ばす気?」
「カレンダーを見るのは主婦ばかりじゃありませんよ、ひとり暮らしの学生とか」
「ひとり淋しさに使ってしまうかもしれないよ」
「レシピを使ってもらうのが目的のカレンダーですよ?」
 ココと小松には大きな溝があった。
「毎日小松くんを見て、小松くんに恋をする可能性があると思うと絶対に認められない」
「ありえません。ぼくがモテないのはご存知ですよね」
「ふた目できみに恋をしたぼくが言うんだから間違いない」
 テーブルを叩いて断言するココは、いろいろすっ飛ばしての告白だということに気づかなかった。
「訂正とか、いろいろ伝えたいことはありますが・・・」
 目を丸くさせたまま、小松は口を開く。
「カレンダーの件はぼくの手をすでに離れているので、直談判は事務局長にお願いします」
 そういって、小松はぬるくなった紅茶を一口飲む。
「ふた目というリアルさがくすぐったいのですが、自惚れでなければ、ぼくを好きと受け止めていいんですよね?」
 小松の問いかけに、ココは目を閉じて聞いた。相手を見れば電磁波が視える。フェアでない告白はしたくなかった。
「好きだよ、だから自惚れてほしい」
 恋人に悪いから、といって小松が写真を断るぐらいの関係に発展したい。
 見ず知らずの人間に小松を見せたくなかった。すでに、メディアに大きく取り沙汰されるシェフの小松に、今さらのわがままだ。
「・・・自惚れ、ます」
 か細い声で小松はこたえた。まぶたを開けて見た小松は、どの記憶にもあてはならない表情を浮かべている。
 誰の目にも触れることのない、自分だけが見られる表情の存在を、ココははじめて知る。その、優越感は、くだらなさと心地よさをココに招いた。
(いやな男になりそうだ)
 自嘲するココは、カレンダーの発行阻止ができなくても先ほどより嫌な気分を味あわないだろうと予想した。

「そういえば、事務局長は四天王カレンダーも企画したいと言ってたなあ」
「え?」
 写真嫌いなココだったが、一番気になったのはゼブラがどの月に配置されるかだった。

終わり

PR
[801] [800] [798] [797] [796] [795] [794] [792] [791] [788] [787
«  BackHOME : Next »
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
WEB拍手
つなビィ
カウンター
バーコード

TCK wrote all articles.
Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP  

忍者ブログ[PR]