リーマンココマもいいですが、春のイベントラッシュ「節分」「バレンタイン」「ホワイトデー」が目白押しでわくわくが止まりませんね。今年は小松くんになにを食べてもらおうかと妄想が止まりません。
止まらない、止まらない、とどんだけ暴走してるのでしょう、私。
4-6/リーマンココマ
「ところで話って?」
一通り食べ終えたトリコが聞く。料理に集中していた小松はトリコに質問するのを忘れていた。
「ぼくが本店を離れないのはココさんがいるからだろうって、サニーさんに言われたんです。否定したらトリコさんのガセネタかなって言うから、ぼくのことでどんな話題が出たのか気になって」
小松の説明に、トリコはしばらく考えて、「それか」と思い出した。
「ココが腕を認めて引き抜いたシェフがいるって話をしただけだ」
「それだけですか?」
納得できなくて小松はしつこく食い下がる。
「後、よく一緒に飯を食ったり、一緒に出勤したり、たまに泊まったりするとか」
「他には?」
「それぐらいだぜ、他になにか思い当たることがあるのか?」
しつこい小松にトリコがうんざりとこたえる。
「ないですけど・・・おかしいなあ」
特別でない情報のなにに、サニーは独自のこたえを見つけたのか小松はわからなかった。
「言わせて頂けば、たまたまですからね? 不摂生なココさんを心配して、出勤の時間が同じなら電車のタイミングも合いますし、泊まったりするのはお互いひとり暮らしの気安さからです」
「・・・たまたま、か?」
トリコが疑問に思って聞けば、小松ははっきりとうなずいた。
「たまたま、なのか」
納得できない様子のトリコに、小松のほうこそ納得できなかった。
ふいに、夜中だというのに部屋の呼び鈴が鳴った。
「こんな時間に?」
新しい造りではないアパートはセキュリティシステムなどなく、ドアにある覗き窓でしか相手を確認できない。小松は携帯を見るが、誰からも「アパートに行く」というメールを送ってきたものはいなかった。
「危ない奴なら悲鳴をあげろよ?」
「大丈夫ですよ、女の子のひとり暮らしじゃないですから」
ふたりが予想できなかった深夜の来客はココだった。ドアを開けて小松はびっくりする。突然訪れるひとではないからだ。
ココは小松を見て、玄関にある大きな靴を見て、「トリコがいるの?」とあいさつを飛ばして聞いた。静かに訊ねるココの目の暗さに、顔が影になって見えず小松は気づかなかった。
「トリコさんなら、いますよ?」
トリコを探しに来たのかと小松は考える。外から吹き込む風に小松は体を震わせ、ココを室内にあがるよう促すが、彼は動こうとしない。
「ココさん?」
「きみは料理が作れるなら誰にでもついて行くの?」
小松はココがなにを言っているのか理解できなかった。ただ、ココから発せられる不穏な空気に、寒さとは別の震えに襲われる。
(怒っている、不機嫌だ、なにかを疑っている)
理解できないが小松は感じた。
「どうした?」
いつまでも戻ってこない小松にトリコが出てきた。友人の姿を見て驚くものの、すぐにため息をついて「帰るぞ、ココ」と口にする。
急激な展開に小松がついていけない。
「帰るならトリコひとりで帰るんだな。ぼくは小松くんと話がある」
「やめとけ」
トリコは荷物を持ってココの反論を切って捨てた。
「よくないこと考えてますって顔したおまえを残して帰れるか」
頭冷やせといって、トリコは強引にココを連れて小松の前から姿を消した。ココも、大人しくトリコに引きずられている。
「どうしたんだろ?」
小松はココを怒らせる理由が思い当たらなかった。怖い、と思うほど怒らせたのに、理由がわからず小松は泣きたくなる。ココの信頼を裏切ることをした自分がいやになった。
そしてトリコの、ココへの自然な対応を羨ましく思った。昔馴染みというが、どれほどの信頼関係があるのか想像もできない。
明日、ココは本店に勤務の日だ。
(始業前に話ができたら)
話があるとココは言っていた。不安を抱えたまま過ごしたくはなかったが、トリコの後片付けを集中して気が紛れ、酒の力を借りてすぐに眠りが訪れた。
いつもの電車にココは乗っておらず、修理から戻ってきた車で通勤したのかと小松は考えた。それが間違いだったと気づいたのは職場に着いてからだ。
「店長が出張?」
続く