スパーク参加を決めたのでまたサイト更新は疎かになりそうですが、あきれずに遊びに来てくださると嬉しいです。
「向き不向き」ココマ
「どうしよう、トリコ」
会うなり泣きの体勢に入るココに、トリコの警戒心が一気にレッドゾーンになる。
ココはトリコら仲間内でも年長で、動揺やまして泣き言を簡単に口にする男ではない。
「なにがあった」
「小松くんを泣かせたくて泣かせたくて堪らないんだ」
「小松がココにいやなことをしたのか?」
ココの発言も、自身の予想も信じられないトリコだが、可能性が思いつかずに口にした。
「まさか! 小松くんがぼくに意地悪するような子じゃないってトリコだってわかっているのに馬鹿なこと聞くな」
全力で否定して、心配する友人をさりげなくけなすココだった。
「好きな子ほど苛めたくなる典型なのか、これは」
「小松が好きなのか・・・?」
「なぜぼくの気持ちを知っている?」
「たった今自分で言ったじゃねえか!」
ついにトリコは切れた。
「泣かせるなんて、まだ告白もしてないのに早すぎる」
苦悩するココに、トリコは恐る恐る聞いた。
「ちなみにどうやって泣かせたいんだ?」
最初は毒舌で泣かせるのだと考えていたトリコだが、ココの気持ちを知って別の可能性が頭を掠めた。
「具体的な方法は考えてないけど、いい声で啼かせたい・・・って、トリコ、なにを言わせるんだ」
ココは恥らうが、彼の思惑を知ったトリコは「見守っていたいぜ、この恋」と暖かな気持ちで応援する気にはなれなかった。
「ハンドパワー」ココマ
グルメーチュンのココの店に突然遊びに来た小松は、往来でさめざめとなく女の子たちを見て驚愕した。
ひとりふたりならわかるが集団だ。しかもココの店の前である。
「どうかしたんですか?」
勇気を持って小松は聞く。
「ココさまが占いができないっておっしゃられて」
「あんなにも親身に話を聞いてくださったココさまが」
「ごめん、だなんて」
おいたわしい、と泣きながら、憂いのある表情も素敵と、泣いているのかときめいているのかわからない嘆きをしているから小松は訳がわからなくなる。
とりあえず、店に入ろうとしたら(占えないのでお客は並んでいなかった)、すれ違い様スーツを着た男がココに感謝をしながら店を出た。
(占えるの・・・?)
「ココさん、調子が悪いとお聞きしましたが」
小松の来店に驚くココの顔色は良くない。
「占えないんですか?」
ココの占い能力を助ける目の力が衰えたのかと思ったが、彼は首を振って否定した。
「小松くん、ちょっとお願いがあるんだけど」といってココは小松を向かいの席に座らせて、彼の両手を握る。
(なにか不安なことでもあるのから?)
ココが小松の手を握り、額にあてること数秒。
「よし回復」
「ええ? ぼくハンドパワーなんてありませんから!」
小松欠乏症で恋の占いができないなどとココは言える訳もなく、「実はあるから」とからかいまじりにこたえるのであった。
「オーバーザレインボウ」ココマ
雨上がりの空の眩しさに、小松は断崖絶壁のココの自宅から外へでた。
夏の通り雨は唐突で、長くなることもあれば一瞬で上がる時もある。
もう少し小松と二人きりでいたかったなどど、残念に思うココの気持ちが天に届く訳ではない。
自らの力でなければ得られないものはたくさんある。力及ばず得られないことも多々ある。
ココはそっと、小松へ手を伸ばした。
「ココさん、虹ですよ!」
すごい、と小松ははしゃぐ。
「何年ぶりだろう」とあまりに小松が喜ぶので、ココは手をひっこめた。
「ここらじゃあまり珍しくないけどね」
「雨が降った時はどうしようかと思いましたけど、雨上がりに虹が見られるチャンスがあるなら良いものですよね、雨も」
きれいだなーと遠くの虹を見つめる小松の方がキラキラしているとココは言いたかった。
(雨があがったのは残念だけど、こうして小松くんの喜ぶ顔が見られるなら)
「そうだね」
(雨も悪くない)
共通はココの片想い
アホの子、気弱な子、chu2な子。