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WJ連載中「ト/リ/コ」の腐/女/子サイト  【Japanese version only.】

2024'11.27.Wed
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2012'06.01.Fri
たまにはファンタジックなココマ。

狐の婿入り

 天気があまりによかった日の午後のことだ。
 職場からの帰り道、久々に明るいうちに帰宅できると思えば、晴れた空から水滴が落ちてきた。
「雨?」
 コンクリートが濡れる匂いに懐かしさを感じる。都会に住んでいると自然を忘れがちになるが、たまに、不意打ちのように思い出すときがある。
 この、珍しい「狐の嫁入り」のように。
 突然の雨に人々が早足になる、その隙間から、着物(しかも袴)を着る青年が悠然と歩くのが見えた。
(濡れちゃうよ)
 他人事ながら小松は心配する。
 傘もささずに歩く青年は、急ぎ足の人々の間を静かにすり抜けていた。
 不思議なひとだと思う小松に、青年が振り返り、微笑む。
(って、ココさん?)
 忘れもしない美食屋の青年だ。何故ここに? と疑問が浮かぶ。呆然とする小松をからかうような笑みを浮かべて、彼は正面を向いた。その先には・・・。
(ぼくぅ?)
 白無垢姿の自分がいた。
 青年の歩みが速くなる。ふと、彼の後を追うような尾が見えた。
(え?)と小松が混乱する中、青年の頭上にとがった耳が生え、黒い着物がかたちを変える。彼は一目散に花嫁に駆けていった。四本足で。
(狐の・・・婿入り?)
 雨はやんでいた。

終わり

「という現象を見たのですが」
「狐に先を越されたか」
 その夜、夕方に見た話を小松から聞いたココは悔しげに呟いた。

YOUらも結婚しちゃいなYO!

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