2012'06.01.Fri
たまにはファンタジックなココマ。
狐の婿入り
天気があまりによかった日の午後のことだ。
職場からの帰り道、久々に明るいうちに帰宅できると思えば、晴れた空から水滴が落ちてきた。
「雨?」
コンクリートが濡れる匂いに懐かしさを感じる。都会に住んでいると自然を忘れがちになるが、たまに、不意打ちのように思い出すときがある。
この、珍しい「狐の嫁入り」のように。
突然の雨に人々が早足になる、その隙間から、着物(しかも袴)を着る青年が悠然と歩くのが見えた。
(濡れちゃうよ)
他人事ながら小松は心配する。
傘もささずに歩く青年は、急ぎ足の人々の間を静かにすり抜けていた。
不思議なひとだと思う小松に、青年が振り返り、微笑む。
(って、ココさん?)
忘れもしない美食屋の青年だ。何故ここに? と疑問が浮かぶ。呆然とする小松をからかうような笑みを浮かべて、彼は正面を向いた。その先には・・・。
(ぼくぅ?)
白無垢姿の自分がいた。
青年の歩みが速くなる。ふと、彼の後を追うような尾が見えた。
(え?)と小松が混乱する中、青年の頭上にとがった耳が生え、黒い着物がかたちを変える。彼は一目散に花嫁に駆けていった。四本足で。
(狐の・・・婿入り?)
雨はやんでいた。
終わり
「という現象を見たのですが」
「狐に先を越されたか」
その夜、夕方に見た話を小松から聞いたココは悔しげに呟いた。
YOUらも結婚しちゃいなYO!
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