読み返せば食材を大切にしない自分がいました。
「夏食1」トリココマ
「小松くんが調理中に倒れただと!」
もの凄い形相で病室に現れたココは、おれを見るなり掴みかかった。
事情は一切ないのにおれが原因だと察するココは相変わらずだ。
濡れたタオルを額に乗せたまま、小松は「夏バテですよ」とココを宥めるように言った。
「ものの二時間もキッチンに立っていないのに暑さにやられるなんて情けないですよね」
「なにを作ってたの?」
「冷たいものがいいってトリコさんが言うからひやむぎを・・・」
「二時間も延々茹で続けたら誰だって倒れるから!」
空気ならぬ「温度を読め」というココのお叱りに反省するしかなかった。
「夏食2」トリココマ
「隣に住んでるおじいちゃんが家庭菜園していて、たくさん夏野菜をいただきました!」
小松くんはテンション高くダンボールを持ってきた。
「お、うまそうな匂い」
トリコが身を乗り出す。
「やっぱりサラダがいいですか? 焼きナスも捨て難いですし」
小松くんが丁寧に野菜を調理台に並べていく。素人の家庭菜園だけあってかたちは不恰好だが、小松くんはいとしそうに見つめている。
「大きいきゅうりですよね。先日の雨で大きく育ちすぎたって言ってたなぁ」
味も大味だから浅漬けにした方がいいかなぁと、大きなきゅうりを持つ小松くんのうっとりする姿は・・・。
「野菜もいいけど、ココ用に血ができる肉も必要だぜ」
「ってココさん、鼻血でてます! トリコさんも冷静にボケないでください!!」
夏野菜、危険だ。
「夏食3」トリココマ
「夏になるとオクラが無性に食べたくなるんですよ。やっぱり季節にあったものが体を欲しがるんでしょうね」
刻んだオクラに醤油バッタとかつおぶしをあえたのをぼくは食べた。
もちろん、トリコさんやココさんの分も用意している。
味にバリエーションを持たせるために、すりゴマをいれたり、一味をいれたりと何種類か用意した。
トリコさんのお酒のおつまみにもちょうどいい。
ねばねばが口の周りにつくのを、人前で行儀が悪いと思いつつ舌で舐めとる。
「小松、今後一切、おれたち以外の奴の前でオクラ食べるの禁止な」
「え?」
なんでいきなりそんな話になるんですか?
「トリコにしてはいいこと言うな。賛成だ。小松くん、人前でオクラ食べたら・・・ひどいからね?」
脅しつきですか?!
横暴だとは思ったけど、まあ、そう頻繁にオクラを食べないのでふたりの言葉に同意した。
しかしなんでダメなんだろ・・・?
ひさびさにトリココマでまとめた拍手でした。