最近ショートしか書いてない気がすると思いつつも、
一週間前にはちょっと長めの話を書いてましたね。
ショートの瞬間湯沸かし器的な萌えも好きですが、大河ろまんホモが書きたいです!
「似たりよったり」 トリコマ&テリー+ココ
一日で終わらなかったハントは明日に持ち越しになり今日は野宿になった。
眠る小松の体がさっき見たときより丸まっている。寒いのかと思い火に薪をくべようとしたら、白い塊がのそりと動いた。テリーが小松の脇に座り、大きな尾で小松の体を覆う。
「なんだよ、おまえらいつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
きっかけは、あれかな?
前回のハントも野宿で、せっかくだからとお外でことに及ぼうとしたら、
「テリーの前でなにするんですか?!」
おれの耳には「テリー」が「こども」に聞こえたが気のせいか?
古代の王者バトルウルフは普通の動物ではない。もちろん知能も高い。こどもとはいえ理解できることも多々ある。ちょっと席を外してくれといえば、小一時間ほど散歩しれくるだろう。
と言ったら、
「最低です!」
小松にこっぴどく叱られた。
「情操教育が心配です」
母親が目の前で殺されたテリーに小松は同情的だ。自分よりでかい動物に庇護欲が沸く奴も珍しい。
「テリー、トリコさんがあほなことをしたらぼくに言ってくれ」
「小松ぅ」
「バウ!」
頼りになる相棒は、こうして小松が傍にいるときはすすんで奴の保護下におさまる。誇り高きバトルウルフが嘆かわしい。
後日、ココにその話をしたら笑われた。
「飼い主に似るって本当だね」
「ペットじゃねえし」
「じゃ、親ばか。ふたりが仲良くて本当は嬉しいくせに」
ココにはお見通しだ。キッスを家族に持つココは、キッスも含めて考えてくれる小松を気にいっている。
「それより、野外プレイのほうがぼくには重要なつっこみどころかな」
あ、やば!
「花ときみと」 ココマ
深夜、帰宅途中の小松は、強い花のかおりに足を止める。辺りを見渡すと、外灯に照らされた純白の花が浮かぶのが見えた。
寒い時期に咲く花は。
「これをぼくに?」
小松から贈られた花束に、ココは戸惑いながらも喜んだ。
女性から花を贈られたことはあっても、男性からははじめてだ。
贈られる花束は主にバラなど華やかでボリュームのあるものが多いが、小松のは一種類の水仙のみ。しかもプレゼントにしては紙の包装紙とシンプルである。
「駅で花を売っているのを見て、急に思い出したんです。この花はココさんみたいだなって」
「ぼくみたい?」
小松には申し訳ないが、彼の言語が理解できずにココは悩んだ。
ひっそりと、でも存在感の強いかおりを放ち、穢れを知らない白い花を凜と咲かせる。
今までも毎年咲いていただろうに、花を見つけた夜、何故か小松はココを連想した。
駅で同じ花を見かけたのは偶然で、急に贈りたくなった。他意はないが正直に経緯を話すのも恥ずかしくて満面の笑みでごまかす。
そしてココもごまかされてくれた。
「花に例えられたのははじめてだけど、嬉しいよ、小松くん」
ココは花に顔を寄せて匂いを味わう。どこかの食いしん坊ちゃんは甘くもない匂いに辟易するだろう。
「花を見てぼくを思い出してくれたんだね」
たかが花だが、小松の思考に自分がいるのだと思うとココは嬉しくてたまらない。
ココが花をどう受け止めるのか、小松が考えて行動したとは思えないが、恋する男は単純だ。
小松の日常のなかで、もっと自分を思い出してくれればいいとココは願い、もう一度花のかおりを胸に吸い込んだ。
「うおー!!」 トリコマ
ハントの帰りの山の谷間で同行者が足を止めた。おれも足を止めて小松と同じ風景を見る。
夕日が山と山の隙間に落ちる間際の緋色の世界。早く山を降りなければ日が落ちて暗くなる。遠くを眺める小松を促すが背中を見せたまま動こうとしない。
「こーゆうのを見ると大声をだしたくなりませんか?」
小松が唐突に言った。
「やっほーってか?」
「うおー!」
小松がいきなり叫んだのでびっくりした。それは大声って類のものじゃないだろ。
「うおー!」と小松は続けて叫んだ。
「なんで叫ぶんだ?」
何度も繰り返し叫ぶ小松が気になり声をかければ、背中をむけたまま言った。
「叫びたくなるときってありませんか?」
なんとも不思議な返答だ。
「例えばどんなとき?」
「・・・自分のなかのなにかがいっぱいになりそうなときとか」
「いっぱいになったからじゃなくて?」
「いっぱいになってからじゃあ、遅いじゃないですか」
さっきまで叫んでいた男は静かにこたえた。小さな背中が景色に紛れて遠く見える。
「自分の部屋とかで叫んだら近所迷惑ですし。カラオケも趣味じゃないですからね」
手を伸ばせば届く距離にいる。でも、今の小松はいくら手を伸ばしても届かない。
いっぱいで、溢れそうになる前に捨ててしまう感情なら、おれによこせと言いたくなる。
よこせ、なんで? そんなことわからないから小松には言えない。
おれも「うおー」って叫びそうだ。