ココマです。
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「ぼくの知らないきみが語る・1」ココマ
「アイスヘルでは寒い場所で冷たいものなんてトンデモナイと思いましたが、いざ雪見大福とか見ると買ってしまいますね」
といってコンビニの袋をさげて小松くんが帰ってきた。
寒いならホットプティングでも用意して待っていたよ?
アイスヘルの寒さは知らないけど、その後センチュリースープのために半年厨房にこもっていたよね?
ぼくの知らないハントの話を聞くのはおもしろくない。
「バニラ味とチョコ味の雪見大福なんですよー。ココさん、二個はいけますよね?」
はい、とぼくのぶんも用意されたアイスクリーム。
「ありがとう」
熱いお茶と冷たいアイスで贅沢な時間を過ごす夜。
終わり
「ぼくの知らないきみが語る・2」ココマ
「食べた野菜は全部、はじめて食べるおいしさでした」
ベジタブルスカイでよほど小松くんは感激したらしい。
新しい食材に感激することはあっても、今まで食べていた野菜に、さらにおいしいものがあると知って驚いたようだ。
「ココさんならキッスで一緒に行けるんじゃないですか?」
「そのときは一緒に行かないか?」
「いいですよ」
ぼくひとりでは小松くんが感じたほどの感激を味わえないと思った。
食材に興味がない訳ではない。
だけど・・・
(オゾン草は食べる気がしないな)
「ところで、にんじんとオレンジサラダにオリーブオイルをかけたいんですけど、ありますか?」
タッチーノ作
終わり
「ぼくの知らないきみが語る・3」ココマ
グルメピラミッドの旅を聞いたぼくは、心臓が三回ぐらい壊れかけた。
砂流に呑まれ、謎の生物に襲われ、帰りもまた熱砂地獄を歩いてきて・・・。
死相は見えない。という97%の占いを信じて見送ったけど、もし同行したら、ぼくは自分がどうなっていたかわからないと思った。
「覚悟はできています」
小松くんのハントへかける気持ちはしっかり固まっている。
(ぼくはできていないよ)
面と向かって言えないけれど。
不安な心をキスでごまかす。
「おいしいもの、食べましょうか?」
ぼくの心が伝わったのか、小松くんの台詞はぼくを気遣うものだった。
「ご飯? それとも・・・」
ぼくの問いかけは小松くんのキスで消えた。
終わり