小松が庶民というか、一般的な金銭感覚の持ち主で嬉しいです。でも貧乏性ならもっと萌えるかも!!
庶民な彼氏
コンビニに寄りたいと小松が言うので、ホテルグルメからアパートの途中にあるコンビニに入った。
おれは特に目当てもないので小松の後について行く。ポテトチップスと炭酸飲料(なんか意外)を買い物かごにいれてレジに向かう途中、パンコーナーで小松は足を止めた。
「今日はある」
このパン好きなんですよ。と言って小松はパンをふたつかごにいれた。
「このレーズンがおいしくて。レーズンなしのを食べて物足りなく思ったんですよね。でも、高いし、あんまり頻繁に買うのも気が引けて通りすぎる日も多いですが」
と小松が言うので、値段を見ればレーズンいりと入ってないものの値段差は30円だった。
・・・小松よ、おまえの給料っていくらだ? 五つ星ホテルのシェフなんだからそれなりにもらっているだろ?
「楽しみだな」と嬉しそうに小松は言う。
「トリコさんも気に入ると思います」
という言葉には、ふたつのうちひとつはおれのものという意味が含まれている。
小松のカテゴリのなかに、自然におれが含まれている。
「パンを食べたらごはんを作りますね」
「おう」
楽しみだと、おれも告げる。
料理もだけど、おまえがおれに勧めるパンを、一緒に食べられる喜びを想像するだけで胸が弾む。
甘い菓子パンは予想以上においしく、以後、ホテルグルメから小松のアパートに行く途中、コンビニに寄れば必ずといっていいほど買った。
でもひとりでいるときに食べたいと思わないから不思議だ。
終わり
きっとコンビニの代金を払うのは小松だ。っていうか、いつもお迎えですか、トリコさん!