『底なし』

こう･･･ぐわ！！　な感じで。

「底なし」

「トリコさんの胃袋に底ってあるんですか？」
延々と食べ続けるトリコに、小松は聞いた。
小松ひとりで作る食事の量には限界はあるものの、手際のよさも手伝い今日もスイーツハウスは大量の料理で埋め尽くされている。
「なんだよ、改まって」
「ブラックホールみたいな胃袋だと思いまして」
トリコの口から「満腹」という言葉を聞いたことがない。
「なんでも吸い込むってか？」
トリコがおもしろそうに笑った。
「おれからすればおまえの方がブラックホールみたいだ」
「ぼくは普通の量しか食べませんよ」
呆れて小松が返せば、そうじゃないとトリコは否定する。
「おれが吸い込まれそうっていう意味」
小松に視線をあわせてトリコは告げる。
「はあ？」
意味がわからず首をかしげる小松に、（底なしなのはこいつの鈍さだ）とトリコは感じた。

終わり